2017年10月号

地域の防災力

綾瀬市 共助と自助が融合した火災対策を「面整備」で実現

リンテック21

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防災まちづくりを進めるには、住民・地域・行政が各々の役割を認識し、連携することが重要だ。自治会主導で感震ブレーカーの全戸設置を進める綾瀬市の職員と自治会に防災意識の醸成や電気火災対策のポイントを聞いた。

感震ブレーカー「ヤモリ」

綾瀬市は大規模地震で発生が懸念される電気火災を抑制するため、「感震ブレーカー」の普及に向けた取り組みをスタートさせた。平成25年3月に策定された「防災まちづくり計画」に、火災や倒壊の危険性が高い地域と指定され、先行して防災まちづくり活動を行う地域を対象に、簡易型感震ブレーカーを配布することで、危険地域の通電火災の抑制につなげたい考えだ。

感震ブレーカーとは、一定以上の地震による揺れを感知すると、自動的に電気の供給を遮断する防災機器。阪神・淡路大震災、東日本大震災で発生した火災の6割以上は電気機器が火元とされるが、周知不足などにより、普及率は6.6%と低水準にとどまるのが現状だ(平成25年12月「内閣府世論調査」)。これを受けて政府は平成27年2月に感震ブレーカーのガイドラインを整備し、自治体に普及啓発を求めてきた。

自治会とタッグを組み
感震ブレーカー設置を推進

綾瀬市は昭和40年代に市域の外縁部から造成された住宅地が多く、外縁部ほど古い木造住宅が密集し、災害時要援護者となりうる高齢者が多いため、防災まちづくりへの対応が急務となっている。そのような中で策定された「防災まちづくり計画」のポイントについて、綾瀬市都市部都市計画課、課長の栩秋琢磨氏は「自助・共助・公助の3つの視点で策定しました」と話し、こう続ける。

「災害から身を守るには、自分の身は自分で守る"自助"と、自分たちの地域は自分たちで守る"共助"の働きが重要です。これに加え、自治体や消防、自衛隊といった"公助"が連携することで、地域全体の防災力向上を図りたいと考えています」

綾瀬市ではこれまでにも自治会と連携し、「防災まちづくりを考える場」の立ち上げやワークショップ方式による地域の課題抽出、まち歩きを通した実態把握と防災マップの作成・配布などを実施し、防災意識の醸成に務めてきた。さらに昨年度は、防災まちづくり活動を行う地域の自治会から協力を得て、感震ブレーカー約300個のサンプル配布と地域の共助による試験的な設置を実施した。設置後は該当地域でアンケート調査を行ったところ、自助や共助の意識に明確な変化が表れた。

「点ではなく面で整備しなければ意味がない、せっかくやるなら対象地域となる面をもっと広げたほうがいい、など多くのご意見をいただきました」と栩秋氏。大規模地震の発生時に「向こう三軒両隣の状況が把握できる環境をつくりたい」という目標に向けて、大きな前進になったことを確信したという。

「木造建物を中心とする既成市街地の
防災性向上」に関する課題の分布図

出典:綾瀬市防災まちづくり計画 概要版

防災モデル地区を目指し
自治会主導で全戸設置へ

市の事業よりも前から検討し、全戸設置という高い目標を掲げるのが綾西地区だ。綾瀬市の最西に位置し、「防災まちづくり計画」のマップで「延焼拡大の防止が必要な地区」(黄色)または「火災の延焼拡大かつ建物倒壊の防止が必要な地区」(茶色)に色分けされた、とりわけ延焼リスクの高い地域である。

太田 淑夫 綾西自治会 会長

綾西自治会の太田会長は「綾西地区の災害リスクは大地震とその直後の火災であり、自宅の耐震化推進と感震ブレーカーの設置が急務です」と話し、以前から危機感を募らせていたという。そうした折、綾瀬市が感震ブレーカー配布事業を開始したことを受けて、今年8月から感震ブレーカーの設置を進めるに至った。

綾西地区における自治会加入率は86%と高いものの、万が一、未加入の家庭が出火すれば延焼の可能性がある。太田会長は「全戸設置しなければ火事は防げない」と考え、この機会に自治会に加入すれば感震ブレーカーを無料で配布するという工夫も凝らした。

綾西地区には75歳以上の高齢者が多いこともあり、設置については、確実に行うため、シルバー人材センターに全面委託している。設置後は市から認定された防災リーダーが年1回、動作試験を行うという徹底ぶりだ。

西谷 亘生 綾西自治会 福会長

西谷副会長も「自治会主導の地域活動として、あくまでも全住民参加をお願いすると共に、最低10年間はその機能を維持管理します」と意気込む。

自助・共助の意識を促進
安価で手軽な「簡易型」を選択

地域主体の防災対策を進める綾瀬市は、「安価」と「設置の容易さ」という観点から、感震ブレーカーは早期のうちに簡易型の一択に絞った。その上で選んだのが、リンテック21の簡易型バネ式感震ブレーカー「ヤモリ」だ。震度5強以上の揺れを感知すると、自動的にバネが作動してブレーカーをオフにする機器で、既存のブレーカーに簡単に設置することができ、費用も工事が必要な分電盤タイプより大幅に抑えられる。

栩秋 琢磨 綾瀬市 都市部 都市計画課 課長

「2つの条件に加え、内閣府のガイドラインにある感震性能評価で標準試験に合格(=2つ星)の評価を得ていることも決め手になりました。行政が配布する以上、国のお墨付きがあることは住民にとっても大きな安心材料です」(栩秋氏)。

本年度は市で購入した1038個のうち、半数近い460個が綾西自治会へ導入される。1500世帯を擁する綾西自治会では、残りの千個近くは住民や自治会が負担することになるが、「自助と共助の意識を高めるためには、ある程度の自己負担は必要」と考えてのことだ。

政府は2024年度までに密集市街地での感震ブレーカーの普及率25%を目標に掲げているが、綾瀬市はこれを上回る、図の2020年までに黄色部分(火災の延焼拡大の防止が必要な地区)は25%、茶色部分(火災の延焼拡大かつ建物倒壊の防止が必要な地区)は50%の普及率を目標とすることで、いっそうの安心・安全を目指す。さらに綾西自治会では本年度中に75%の設置を目指している。

近年の災害では、地域のコミュニティが被災後の応急、復旧、復興に大きな役割を果たしている。「防災まちづくりを通じ地域のコミュニティが密になることで、空き家問題や孤独死の解消など、地域の社会課題も解決していきたいです」と栩秋氏は今後の展望を語った。

 

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