防災行政無線の多言語対応 HOYAの音声合成ソフトウェア

外国人観光客・在留外国人数が過去最高となった日本。「災害時の外国人対応」が課題となっているなか、HOYAが開発した音声合成ソフトウエア「VoiceText」が注目を集めている。

MD部門音声ソリューション マネージャー 北島一則氏

自治体の多言語対応は急務

災害時、自治体による防災行政無線放送は人々にとって大切な情報収集源となるが、多言語化が進んでいないのが現状だ。従来の方法としては、事前に外国語で読み上げた音声を収録して、災害時に放送することを考えていたが、収録数に限度があることに加えて、限られた言語の対応に留まるため、臨機応変な情報提供には不安が残る。

実際、各国大使館や皇居など外国人に人気の観光スポットを有する千代田区では、多言語対応した防災無線放送を整備。そこで導入したのが、VoiceTextを自治体向けにカスタマイズしたパッケージ「VoiceText 防災パック」である。

担当者の北島氏に話を伺った。

「本ソフトは、テキストデータを音声化するもので、英語(アメリカ・イギリス)・中国語・韓国語・スペイン語・フランス語など15言語に対応。日常でパソコンを使われている方ならどなたでも簡単に操作できますし、基本的な定型文を備えています。また、翻訳会社とのタイアップも行っていますので、自治体の希望に合わせたアナウンスを作成することも可能です。原案さえ作っておけば、例えば数字や地名など可変部はその都度変更できるので的確な情報提供を行えます」

文字を音声に変換するだけでなく、句読点部分の音声速度やイントネーションなども調整できる

外国人の防災対策と
職員の業務効率化を両立

本ソフトが優れているのは、多言語化だけでなく作成される音声そのものにも特長がある。音声合成ソフトといえばロボット声のイメージが強いが、本ソフトの音声は肉声に近く、更に非常に聞き取りやすい声質をしている。

実際に、公共施設のアナウンス放送やテレビ番組のナレーションとして導入されているケースもあるが、本物の人間の声と思う人が大多数だという。音声は各言語それぞれで男性・女性を選ぶことができ、24時間365日同じ声でアナウンスができるので、行政防災無線の声であることの周知もスピーディーに進む。

また、無線放送はハウリングなどが生じて聞き取りにくくなることがあるが、本ソフトはアナウンスの速度や、言葉と言葉の間の長さを簡単に設定可能。さらに、抑揚やイントネーションも自由に変更できるので、より慣れ親しんだ言語を再現することもできるという。

多言語による防災無線放送は、外国人が自らの命を守る情報源として大きな意味を持つ。それと同時に、自治体職員や日本人にとっても重要な意味を持つと北島氏は考えている。

「本ソフトは誰でも簡単に操作・編集できるため、防災放送の手間と時間は大幅に省くことができ、その分、自治体職員は他の業務に集中する等、住民の命を守る行動につなげていけると考えています。外国人にとっても日本人にとっても安心を生み出せるものとなるよう、今後も開発を続けていきたいです」

 

お問い合わせ


HOYA株式会社
MD部門 音声ソリューション
Tel:03-5913-2312
URL:http://voicetext.jp/

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