2017年9月号
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教育の情報化と新ビジネス

地域と世界のつながり eラーニングが拓く 新たな学びの市場

岸田 徹(ネットラーニングホールディングス 代表取締役会長)

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インターネットを介した授業の展開は、教育の情報化における大きな転換である。学習ログの詳細な記録により、学びの個別化・ポータブル化が進み、リアル授業との相互乗り入れも進んでいる。

岸田 徹(株式会社ネットラーニングホールディングス 代表取締役会長)

ネットラーニングホールディングス(以下、ネットラーニング)はオンライン教育での最大手として、約3700万人の延べ受講者を抱える(2017年7月1日現在)。受講者の修了率90%以上を達成し、自社で6244の講座を制作し提供している。

そもそもオンライン教育が大規模に普及する現状には、どのような背景があったのか。

「西暦2000年代に突入した頃から、教育はインターネットと切り離せなくなっています。とりわけマサチューセッツ工科大学(MIT)などを発祥とする大規模オンライン教育(MOOC)は、教育のあり方を根本から変えました。教室は授業の場ではなく、実践の場に変わる。『反転教室』という現象です。単に教室が変わったのではなく、eラーニングが教育を変えたといえます」

事業として見たときの、eラーニングの特徴は何だろうか。遠隔教育の提供というだけであれば、従来の通信教育にも存在した。その核心的な本質は「学習履歴(ログ)を取れる」ことにある。つまり学習管理システム(Learning Management System,LMS)の導入である。これにより、進度や達成度を詳細に把握することが可能になり、学習能力に応じたカリキュラム設定、学習予測が明確にできるようになった。加えてeラーニングでは「教室内の学習ログ」も採取するため、従来の集合研修とは異なる根本的な変化がもたらされた。

これまでも教育工学などの分野で、ラーニングプロセスの研究と実装は進められていたが、その大半はブラックボックスであった。eラーニングの登場でそのプロセスが詳細に可視化されるようになった。学習という誰からも見えなかった世界が明確になり、「教える」と「教わる」の関係性に変質が生じ、お互い「学ぶ」同士のフラットな関係で議論が交わされている。

オンライン教育の普及は学びの大規模化をもたらした。同社で現在抱える延べ受講者数は、昨年7月に3000万人を突破したばかりなので、この一年で700万人の伸びを見せたことになる。

コンテンツ自体はMIT、デルフト大学、スタンフォード大学など世界の一流大学だけでなく、AFP通信も無料で提供している。字幕の日本語翻訳プロセスも授業の一環として扱われ、横浜国立大学・中央大学など様々な大学や高校の参画を得つつ、コンテンツの提供を支える重要な一部である。

こうしたコンテンツをすべて無料で公開するビジネスモデルとは何だろうか。これは本質的に考えれば、「各社ウェブサイト作成のビジネスモデルとは何か」と同義である。

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