災害時に備えるWi-Fiの新提案 「つなぐ」技術で地域を活性化
総務省は、防災を目的に新たな補助事業をスタートさせ、地域のWi-Fi環境の整備を進めている。バッファローは、こうした動きに合わせて、適切なWi-Fi環境を容易に実現できる新製品を発売。緊急時に限らず、平常時の観光や教育での活用においても、数々のメリットをもたらす。
日本は、LTEなど携帯電話の通信回線が全国津々浦々に整備されており、普段の暮らしの中で、電波の状態に不都合を感じる機会は限られている。しかし、災害時など一気に多くの人が集中して利用する際には、「電話がつながらない」事態が発生してしまう。
その点、Wi-Fi(無線LAN)は、耐災害性の高い通信インフラだ。2016年4月に起こった熊本地震でも、Wi-Fiを通じてインターネットにアクセスし、LINEなどSNSで連絡を取り合う人たちが多く見られ、Wi-Fiの重要性が再認識された。
総務省が防災Wi-Fiの整備計画を発表
総務省は2016年12月、「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」を公表。2017年度に公衆無線LAN環境整備支援事業をスタートし、この3月から公募が開始されている。2019年度までの3年間で、約3万ヵ所のWi-Fi環境の整備を目指す計画だ。これを受け、各自治体でも、Wi-Fi環境を整備する動きが活発化し始めている。
補助金対象となるWi-Fi機器等の設備には、要件が定められている。主なポイントは、次の4つだ。
1つ目が、災害時にWi-Fiを開放できること。そして2つ目が、平常時に公衆Wi-Fiとして利用する際には、メールアドレスやSNS等による認証が義務付けられていること。
3つ目は、Wi-Fiアクセスポイントは、固定式であること(可搬型のアクセスポイントは対象外)。4つ目は、高速無線LAN規格「IEEE802.11ac」の5GHz帯通信に対応していること。
なお、災害時には避難所に数百人が集まり、全員が一斉にアクセスするケースも想定される。そのような状況であっても、スムーズに使える必要がある。
平常時はセキュリティを維持しながら、観光振興や教育のためにWi-Fiを利用しつつ、災害時には即座にWi-Fiを開放し、誰でもすぐに接続できるようにすることが求められているのだ。
熊本県導入の観光Wi-Fi、被災支援にも活用
こうした中で、パソコン周辺機器の総合メーカー、バッファローが新たな戦略を打ち出している。バッファローはBCN社による全国の大手家電量販店の実売データに基づく調査で、15年連続、無線LAN部門で1位となっている。個人・家庭向け市場で強いブランド力を持つバッファローだが、BtoBの市場においても高いシェアを持つ。
バッファローのコーポレートステートメントは「つなぐ技術で、あなたに喜びを」。バッファローはIoT(モノのインターネット)の時代、家庭や企業だけでなく、公共施設においても、モノとモノ、人とモノ、人と人を「つなぐ」さまざまな製品を提供している。
例えば、多くの観光客が訪れる黒部ダムの公衆Wi-Fiにもバッファロー製品が使われている。熊本県は、公衆Wi-Fiサービス「くまもとフリーWi-Fi」の敷設機器の一つとしてバッファロー製品を採用。もともと、観光客の誘致を目的に展開するものだったが、2016年4月の熊本地震の際には、被災者支援のための通信インフラとして活用された。また、小中学校など、教育機関のWi-Fi設備でも多くの採用実績がある。
バッファロー営業推進部長の富山強氏は、「15年以上前から、学校のICT環境の整備に携わっています。導入のしやすさ、使いやすさなどが評価され、当社のWi-Fi機器は教育や観光の現場に浸透してきました。最近ではタブレットを活用した授業も増え、多台数のタブレット接続に対応したWi-Fi環境整備は、学校にとって不可欠になってきています。また、学校の体育館は、災害時の避難所に指定されており、緊急時の通信インフラとして、Wi-Fiを整備したいというニーズも増えてきています。そうした現場の声に応え、多台数接続に対応し、近年では災害時にパスワード不要でWi-Fiに接続できる『緊急時モード』を備えた11ac対応アクセスポイントを提供しています」という。
平常時の活用にも最適な新製品
総務省が補助金対象機器の要件を発表したのに合わせ、バッファローは2017年2月、新たなフリースポット導入キット「FS-R600DHP」の販売を開始した。
この製品と前述の緊急時モードを搭載した11ac対応アクセスポイントを組み合わせることで、自治体の防災担当者が、総務省の施策に対応した公衆Wi-Fiの整備を進めることが容易になる。
「FS-R600DHPは、総務省が定めた公衆Wi-Fiの認証方式に対応したルーターです。緊急時モード対応のアクセスポイントと組み合わせれば、平常時は認証機能を備えた公衆Wi-Fiとして活用しつつ、災害時はすぐにWi-Fiを開放できます」(ネットワーク事業課・三宅健生氏)
多台数の認証接続が必要な規模の施設にも対応(最大200台)しており、さまざまな場所で公衆Wi-Fiが容易に導入可能だ。
「バッファローはこれまでのノウハウを活かし、学校や観光施設において防災も含めたWi-Fi環境の提案ができます」(営業推進課・下村洋平氏)
平常時を意識した公衆Wi-Fi環境の整備は、災害時だけでなく、地域に多くのメリットをもたらすことができる。例えば、日本を訪れた外国人観光客が抱く不満の一つは、Wi-Fi環境の未整備だ。平常時に自由にWi-Fiが利用できる環境を整備すれば、地域に人を呼び込むツールとなる。
今回の動きを追い風として、総務省の「3年間に約3万ヵ所」というWi-Fi設置目標が達成されれば、国内のWi-Fi環境の整備が一気に進んでいく。今後の動向に注目したい。
平常時と災害時、Wi-Fiの活用例
お問い合わせ
- 株式会社バッファロー
営業推進部 営業推進課 - TEL:03-3523-3345
- Mail:toiawase@melcoinc.co.jp
- URL:http://buffalo.jp/link/gov/
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