災害対策=経済成長の手段 高知県・尾﨑知事の逆転の発想

南海トラフ地震で甚大な被害が予想される高知県。尾﨑正直知事は全県を挙げた南海トラフ地震対策を推進。この挑戦を通して過疎化問題の解決や地域産業の振興をも実現するという壮大な構想を描く。
取材協力:第20回 「震災対策技術展」横浜(エグジビションテクノロジーズ)

 

逆境をチャンスに変える

いつ起きてもおかしくないと言われる南海トラフ大地震。内閣府は南海トラフ沿いで東海、東南海、南海地震が同時に発生した場合、最大で想定死者数は32万3000人、経済被害額は220兆円と想定している(2012年8月公表)。

中でも高知県は甚大な被害が想定されている。県内ほぼ全域で震度6弱以上の揺れが予測され、最大高34m(全国最大)の津波が土佐清水市や黒潮町を襲う。高知県の死者数は4万2000人と予想される。

「初めて34mという最大津波高を聞いたとき、思わず天を仰ぎました」と尾﨑正直高知県知事は振り返る。高知県は1990年から人口が自然減状態となり、経済の地盤沈下も激しい。2007年就任の尾﨑知事のもと、県外から外貨を稼ぐ『地産外商』戦略や移住促進に取り組み、一定の成果が出てきたところに、南海トラフ地震の被害想定が公表された。

「高知県では過去の被害想定の最大津波高17mに基づき災害対策を進めてきましたが、それが不十分だということがわかりました。企業誘致や地価にも影響が出ました。県民のショックも大きく、防災訓練を『意味がない』とやめてしまったところもありました」

ただでさえ財政的に厳しい県で、新たな地震対策は巨大な負担になる。しかし、手をこまねいているわけにはいかない。尾﨑知事は発想を転換し、地震対策を地域活性化の方策として捉え直した。

「南海トラフ地震対策を、高知の負のスパイラルを抜け出し好循環を生み出すエネルギーにしていきたい。地域に防災コミュニティをつくることは、過疎化・少子化対策に直結します。県内企業の防災技術の開発を支援することは、県産業の振興と地産外商、さらには、日本の新しい輸出産業を生むことに繋がります。私たちは南海トラフ地震対策に、大きなチャレンジとして立ち向かっていきたい」

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