首都直下型地震では津波よりも火災が危険 大規模火災への対策
過去に日本で起きた震度6以上の地震では、わずかな例外を除き、大規模火災が発生している。これを防ぐには事前に危険な場所や箇所を察知し、そこから火を広げない方策が求められる。中でも火災原因の中で件数の多い「電気火災」を防ぐことがポイントだ。
「震度6」がもっとも燃えやすい
次に起こるとされる首都直下地震や南海トラフ地震では、どのような火災が起き、どのような被害がもたらされるのか。兵庫県立大学防災教育研究センター長の室崎益輝氏は「直下型地震の場合には津波よりも火災が怖い。特に震度6前後での火災が危険」と語る。
「実は震度6くらいのときが、大規模火災が起こりやすいのです。建物が崩壊していないため、空気の流通がはかられ、激しく燃えやすい。関東大震災でも、全壊率の高かった鎌倉や小田原では意外にも火災被害が少なかったのです」
地震時に燃え広がると、延焼スピードは時速200~300mにもなる。関東大震災で激しく燃え広がった地点は時速800mといわれる。火災が時速100mを超えると逃げ切れず火災に巻き込まれる人がでてくる。
「阪神・淡路大震災当時はほぼ無風で、延焼スピードも時速40m程度。人も逃げることができ、亡くなった焼死者も500人ほどと少ない。しかし、関東大震災で焼けて亡くなった人は9万人です。台風が近くにあり、秒速10mほどの風が火災を拡大させました」
もし阪神・淡路大震災時に、風があったらどうなっていたのか。被害が少なく済んだのは偶然でしかなく、大規模火災を防ぐ手立ては必要だ。
高層にある防火設備は要注意
室崎氏は、地震時には大規模火災が起きやすい場所が生まれると語る。地震によって「出火しやすい環境」「消火しにくい環境」「延焼しやすい環境」が生み出されるからだ。
「出火原因は火源、着火物、経過で説明できます。火源とは例えば、地震での停電から通電時に起こる火花であり、着火物は漏れているガスなどです。経過とは火が燃え広がる過程のこと。出火しやすい環境とはこれらの条件が重なる場所を指します」
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