自治体クラウドを活用した情報管理
東日本大震災では、行政データも大きな被害を受け、その保護・管理のあり方も見直しを迫られた。情報の電子化が進むなか、重要な情報を災害から守り、災害発生後も滞りなく業務を遂行するためには、行政データの管理はどうあるべきだろうか。
東日本大震災の被災地域におけるICT環境の被害の実態をみると、データ損失の被害があった地方公共団体は、30%にのぼった。中には、バックアップデータを庁舎内に保管しておき、その庁舎自体が被災したため、バックアップデータも滅失してしまったというケースもあった。(総務省「情報通信白書平成24年版」)
住民情報のデータを滅失してしまえば、通常業務を再開するまでに時間がかかるだけでなく、安否確認等の災害発生に伴って必要となる対応にも支障を来す可能性がある。したがって、地方公共団体のICT環境の災害対策は極めて重要で、データのバックアップも欠かせない。
図1 自治体クラウドの概念図と狙い
クラウド化で防災力を強化
データのバックアップのもっとも手軽な方法は、磁気テープ等のメディアにデータを保存する方法だ。データを保存したメディアは、自庁舎内で管理する方法もあるが、上述のように庁舎自体が被災すれば、バックアップデータも滅失してしまいかねないため、遠隔地での保管が望ましい。バックアップデータの保管を民間業者に委託するケースもあるが、静岡県藤枝市と沖縄県宮古島市のように、住民データを記録したメディアを相互に送り合い、管理しているところもある。
一方、ネットワークを使ったバックアップ方法もある。本庁舎から離れた支所などにサーバーを置いてバックアップをとるほか、民間のバックアップサービスを利用する方法もある。
ネットワーク経由での民間のバックアップサービスを利用する方法のひとつに、「自治体クラウド」がある。
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