都市のスーパーを「農家の直売所」に 流通に風穴開ける
東京、大阪を中心とする都会のスーパーマーケットで、生産者直送の新鮮な農作物を購入できる「農家の直売所」を展開。ベンチャー企業・農業総合研究所は、生産者に新たな販売の選択肢を提供する。
「農業にはさまざまな側面があり、食糧問題や環境問題、雇用や地域の問題、ビジネスとしての収益性の問題など、いろいろな切り口で論じることができます。ある意味、農業はいろんな役割を背負いすぎている。僕が目指しているのは、ビジネスとしての農業。農業が独り立ちできる仕組みをつくりたい」
そう語るのは、農業総合研究所の代表、及川智正氏だ。同社は2007年に和歌山市で設立され、今期で9期目を迎えるが、創業1年目に1500万円だった取扱高は、前期28億円、今期は35億円(予想)と右肩上がりに成長している。
農業総研の事業を一言で説明すれば、「生産者がつくった農産物を、都市部のスーパーで自由に販売できるプラットフォームを提供すること」だ。
仕組みはいたってシンプル。農業総研に登録した約5000人の生産者が、全国45ヵ所に設置された農業総研の集荷場に農産物を持ち込む。生産者は自由に農産物の価格を決め、農業総研と契約した全国450店舗の中から出荷先を選ぶ。運送会社が農産物を運び、翌日には指定の店舗へ届けられ、店頭に陳列される。
販売は各店舗に任され、店頭での販売情報は生産者にフィードバックされる。その情報をもとに、生産者は次の売り方を考えるという仕組みである。
地域のスーパーが地元農家の産品を売ることはあっても、農業総研のような規模で同様のビジネスを展開している企業、団体は他にない。及川CEOは農業の現場に身を置き、そこで実感した課題を解決するために、一から農業総研のビジネスを構築していった。
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