日建設計NAD デザイン思考で新事業を立ち上げ

デザイン思考は課題発見や課題解決のための強力なツールだ。これを活用して、新規事業をスタートさせたのが日建設計。建築設計事務所のイメージを大きく変える事業に、注目が集まる。

NADには空間デザインから企業のブランディングまで大小様々な相談が届く

経営課題解決のための「設計」

創業114年の歴史を持つ日建設計が2013年10月、設計部門内に新設した領域横断部署NIKKEN ACTIVITY DESIGN lab(NAD)が注目を集めている。オフィスビルや都市をデザインするという日建設計の主要業務とは大きく異なり、クライアント企業の経営課題解決のために建築にとどまらない様々な領域をデザインするという、異色のチームだ。

立ち上げメンバーの塩浦政也氏、坂本隆之氏、安田啓紀氏を中心とした同社内部の建築家、都市計画家、エンジニアら約20名に加えて、外部のグラフィックデザイナーや編集者、映像制作会社など10数社とも連携したチームで、デザイン思考に基づいた「アクティビティデザイン」を通じて、空間、プロダクト、サービス、ワークスタイル、イベントなどをデザインしている。

NADの存在はほとんど外部にプロモーションをしていないが、その取り組みは口コミで評判を呼び、すでに大手企業など多くのクライアントを抱えている。

空間の価値を見直す時代

NADができたきっかけは、近年、顕在化してきた業界の変化にあった。

「建築設計事務所への依頼はかつて、予算がいくらでどこに何を建てたいというシンプルで明快なものがほとんどでした。しかし最近は依頼の内容が変わってきており、そもそも何を建てたら良いか、空間を含めた自己資産を使って何をすべきか、苦心しているクライアントが増えています」と、NADのチーフを務める塩浦氏は話す。

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