2013年8月号
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日本農業が変わる

イタリアを救う農業プロジェクト

月刊事業構想 編集部

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イタリアで注目されている雇用対策プロジェクト「アグリトリノ」。若年層失業者を農業従事に導き、地元消費者に安価の高品質生産物をもたらすためのプロジェクトだ。またエコ農法による教育サポートも行っている。

トリノ市、ダウンタウンからの眺め。都市部のはずれに農地が広がることがわかるPhoto by Florinux

イタリア北西部に位置するピエモンテ州トリノ。フランスやスイス国境に近いこの地には、独自のこだわりある食文化が存在している。近隣には水田が広がり、トリュフ、ポルチーニ茸など美食のための素材も豊富で、最高級ワインで有名なバローロやバルバレスコの産地もあり、良質な食材を用いて作られたピエモンテ料理は現地で試す価値がある。

トリノを50キロほど南下するとブラという小都市がある。そこは、地元の伝統的な食文化や食材を見直す「スローフード運動」発祥の地であり、いまや世界132カ国に10万人ほどのメンバーが所属する「スローフード協会」の本部が置かれている。同協会のイニシアティブにより2004年に創立された食科学大学は「食」全般を学ぶことができるユニークな大学で、世界中から生徒が集まっている。トリノ近郊リンゴットで行われる同協会主催の「サローネ・デル・グスト」は世界最大の食の祭典で、日本から足を運ぶ人も多い。この地は食への意識が高いだけではなく、世界に先駆けて新たな食に関するムーブメントを発信する活力がある。

若者の雇用促進に農業

そのトリノで、2013年3月「アグリトリノ」という試みが開始されて、注目を集めている。これは地元の慈善事業団体「Sermig」「Cottolengo」が中心となり、サレジオ修道会、ソマスカ修道会、職業訓練機関、慈善団体への金融機関などの協力を得て立ち上げたプロジェクトで、貧困層、特に若者の雇用促進の活路を農業に求めるという画期的なものだ。

トリノ郊外のルエーリオ。イタリアの若者の25歳以下の失業率は37.8%と深刻な状態にある。photo by Maffo

トリノ都市部近くにある休耕地を失業者に貸与し、彼らに農作業就労の機会を与えて安定収入が得られるような道筋を作り、サポートして導くことがこのプロジェクトの概要だ。

イタリアにおける失業率の増加は深刻だ。イタリア国立統計研究所(ISTAT)の発表によると、2013年4月の失業率(季節変動調整済)は12%と過去30年間で最も高い数字を記録している。中でも25歳以下の失業率は37.8%で、実に若者の3人に1人は職に就いていないという危機的状況だ。長期化するユーロ経済危機のもと、発足して2カ月が経過したイタリア新政権には抜本的な経済改革を期待するところである。

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