オランダ・日本の合弁で先端農業

オランダの収益性の高い農業に憧れた青年は、訪問を重ねることで、ついに合弁会社を築くまでに至った。そして、その合弁会社は、日本の農作の技術と、オランダの工業的な生産技術を組み合わせ、質、生産量とも最高レベルのフルーツトマトを世界へ届けようとしている。

Minori Holland B.V.の温室。6m50cm程度の高さがあるオランダの温室は、温度変化の影響をうけづらく、風も植物に直接当たりづらい。日本で取り入れが進まないのは法規制のためだ

農業での世界競争で日本が勝つ道は、輸出、海外生産物をmade by japaneseとして出す、技術を売るなどいくつかのパターンがある。オランダの企業と合弁会社Minori HollandB.V.を立ち上げた今井寛之さんは、「技術を売る」やり方を選択した一人だ。

今井さんのフルーツトマトは切るとハート形になる。持っているのはMinori Holland B.V.の共同経営者

今井さんは、Green farm imaiというフルーツトマトを生産する農業法人の代表に、父親の後を継いで就任している。幼少時代から関わり、磨いてきたフルートトマトの生産の技術、日本の品種の特性をオランダに伝え、オランダの施設園芸の技術を加えて、日本と同じ品質のフルートトマトを、日本での生産の平均5~6kg/m²から、20~30kg/m²のレベルまで引き上げて生産しようというプロジェクトを、今まさに動かしている。今井さんのトマトは玉ねぎ上にとがり、切るとハート形になる特殊なフルーツトマト。また、高糖度化など食味の改良もなされている。広大な農地面積を持たない日本だからこそ磨かれた技術だろう。

この技術とオランダの生産力がコラボレートする今井さんのプロジェクトは話題を呼び、「現地の金融機関からも声がかかり、注目されています」。

生鮮トマトは日本食に使われるもので、ロシアや中東などからも需要が見込め、高い可能性をもったビジネスと判断されたのだ。そもそものトマト自体も、日本の農業生産物というブランド価値に加え、日本食に合うという実績もあるため、数多くの海外取引先を得てきている。

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