2013年8月号
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日本農業が変わる

新規参入 成功と失敗のファクター

小平勘太(オリザ CEO)

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企業の農業参入事業の成否を別ける要因は1.生鮮品マーケットの正しい認識と緻密なマーケティング、2.外部専門家の登用によるナレッジ獲得、 3.中長期的な人材育成計画の策定、にある。

農林水産省の平成23年度 食料・農業・農村白書によると全国の農業法人数は平成24年に1万2千法人を超え、平成12年の5800件に比べ倍増している。平成21年に改正農地法が施行され、農業生産法人以外の一般法人についても新規参入の規制が大幅に緩和され、今後も企業の農業事業への参入は増加すると見込まれる。

しかし、平成23年に行われた農業法人の経営状況調査(図1)によると、経営状態が増収・増益傾向にあると答えた農業生産法人は全体の26.6%にすぎず、減益傾向にあると答えた企業は60.2%を占めた。

加えて、売上規模が小さい企業程、減収減益の割合が高くなっている。オリザでは一般企業の農業事業への参入を全国で支援しているが、その経験を踏まえ、理想の新規参入時業に求められる要因を述べたい。

正しい認識と緻密なマーケティング

安心・安全なものを作れば農業ビジネスは成功すると単純に考える参入者は多い。ただ、現状として、消費者のライフスタイルの変化により生鮮品のマーケットは縮小傾向にあり、競争は激化している。

図2は平成23年度 食料・農業・農村白書より抜粋した「世帯当たり消費支出額の費目別増減率(平成7~23年)」である。

図によると世帯当たり支出額は「野菜・海藻」で18.5%減、果物で26.2% 減、米に至っては49.4%減である。原因としては、カット野菜や惣菜利用の増加、世帯人数の縮小によるパッキングサイズの縮小、惣菜などの中食の増加、大規模スーパーの郊外化による高齢者層の買い物難民化などが上げられる。

参入業者としては、安心・安全だけではマーケット戦略は不十分で、普通の産品を普通に作るだけでは縮小するマーケットでは先行する競合との競争に勝つことはできない。プレミアム戦略、ニッチ戦略、大規模化によるコスト低減、加工などの特殊用途への特化など、自社の強みを生かしたマーケット戦略の事前策定が必須と言える。

外部専門家登用によるナレッジ獲得

「Web進化論」(ちくま新書)の中で著者の梅田 望夫氏は情報のオープンソース化が進み、情報共有され開かれた世界の中でイノベーションが産み出されるIT業界のトレンドを描いたが、対極にあるのが日本の農業業界だともいえる。オランダなどの農業先進国は技術のオープンソース化や栽培施設の標準化によりイノベーションを産み出してきた。

だが日本の農業生産者の間では未だ職人的な意識で技術を囲い込む傾向が強い。また国内農業において技術のオープンソース化が進まない理由としては、南北に長い国土から環境による変動要因が大きく、かつ栽培施設や手法が標準化されていないため、横断的なマニュアルの作成ができないという背景もある。

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