不動産仲介の業務をAIで効率化 大学と共同研究実施

 

GA technologies(東京都渋谷区)と首都大学東京の高間研究室は、機械学習を利用した中古不動産物件のレコメンドシステムの共同研究結果を2018年1月18日に発表した。両者は、物件検索の精度向上と効率化により、不動産会社の営業活動を効率化することを目指し、2016年8月から共同研究を開始していた。

GA technologiesは、2013年3月に設立された不動産ベンチャー企業。2016年から、人工知能(AI)を活用して最適な物件情報やリノベーションスタイルの提案をスマートフォン上で提供するアプリ「Renosy (リノベ版)」を提供している。共同研究先である首都大学東京の高間康史教授は、情報の可視化やウェブインテリジェンスの研究者だ。

 

不動産仲介の際は、顧客の要求を満たす不動産を探すために、物件データベースの莫大な物件情報をふるい分け、絞り込みを行う。共同研究では、リノベーションのために中古不動産を仕入れる際の、物件検索作業の効率化を対象とした。まず、不動産の物件検索システムに、ランキング学習のしくみを導入した。経験ある仕入れ担当者が物件を順位づけるのと同じように、システムで物件にランキングを付けられるようにした。学習用の訓練データは、GA technologies社内でプロトタイプシステムを走らせて収集した。不動産の価値を決めるパラメータ、例えば駅からの距離や所在階などを取り込み、最終的には仕入れ担当者の暗黙知を反映したランキングが作成できるようになった。このシステムを社内に導入したところ、リノベーション物件を提案するまでの検索時間を最大で55%削減できた。

 

並行して、GA technologiesでは、不動産業者向けの紙ベースの物件情報「マイソク」を自動的に読み込むシステムを自社開発した。マイソクの情報は、全国の不動産業者がそれぞれのフォーマットで作成するため、様々なパラメータが誌面上に不規則に分散していてデジタル化が難しい。自動読み取りシステムのおかげで、マイソクのデータを80%の精度でデータベースに取り込めるようになり、物件仕入れ業務の工数を3分の1まで圧縮できた。

 

GA technologiesの樋口龍社長(写真)は、「アナログが主流で、紙ベースで物事が進む不動産業界でも、ITを使って効率化できることが示せた。AIを使ったシステムの導入により、社内の業務効率が向上するだけでなく、新卒・中途採用でレベルの高い応募者が来るなどの効果が出ている。最終的には他の不動産企業へのシステム供給につなげ、不動産業界全体を変えたい」と話した。

GA technologiesは、2013年3月に設立された不動産ベンチャー企業。2016年から、AIを活用して最適な物件情報やリノベーションスタイルの提案をスマートフォン上で提供するアプリ「Renosy (リノベ版)」を提供している。

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