パソナグループとMKタクシーが提携 淡路島の観光交通サービス強化

株式会社パソナグループとMK西日本グループは2025年9月4日、兵庫県淡路島における観光交通の革新を目指し、『タクシーを活用した新たな観光交通に関する包括業務提携』を締結したと発表した。この提携は、関西圏のオーバーツーリズムという社会課題への対応と、淡路島が抱える交通アクセスの課題解決を同時に目指すものだ。

背景に都市部の観光課題と地方の潜在能力

近年、大阪・京都・奈良等の関西圏における有名観光地では、オーバーツーリズムによる生活交通の混雑が深刻化し、観光事業と地域生活との共存に向けた取り組みが求められている。その一方で、兵庫県淡路島は関西圏からのアクセスに恵まれながらも、観光客には十分に周知ができておらず、島内の公共交通が高速バス・市バスに限られており、レンタカーの使用ができない観光客を中心とした交通課題が顕在化している。

こうした中、2008年から淡路島で「人材誘致」による地方創生事業を推進してきたパソナグループが、MK西日本グループ(大阪エムケイ株式会社、神戸エムケイ株式会社、関空エムケイ株式会社、福岡エムケイ株式会社、沖縄エムケイ株式会社の5社で構成)と手を組んだ。パソナグループは、アニメパーク「ニジゲンノモリ」や禅ウェルネス施設「禅坊 靖寧」など、様々な観光施設を運営している。

パソナグループが運用する「ニジゲンノモリ」のアトラクション「ゴジラ迎撃作戦~国立淡路島研究センター」(TM & © TOHO CO.,LTD./写真提供:パソナグループ)

提携の核心は「タクシーツーリズム」による新サービス

本提携の中核をなすのは、主にインバウンドを含む観光客や富裕層をターゲットとした「タクシーツーリズム」の企画・推進である。

具体的には、大阪・神戸の市街地や関西国際空港・伊丹空港・神戸空港、新大阪駅・新神戸駅などの関西大規模ターミナルを発着場所とし、淡路島内のパソナグループ各施設への周遊において、貸切タクシーと観光施設のワンストップ管理を実現する。MK西日本グループは、知識豊富なドライバーがトラベルコンシェルジュとなって旅を支援するサポートプランを提供し、インバウンドにも安心な通訳ドライバーやVIPにも対応できるエグゼクティブ車両など、ニーズに合わせた柔軟なサービスを手配する。

パソナグループ側は、淡路島観光総合情報サイト「淡路島西海岸 by PASONA」にMKタクシーの専用予約チャンネルを開設し、関西国際空港・神戸空港の外部PRブースでもMKタクシーの利用を促進する。また、MKタクシー利用者に対し、各施設で使える割引クーポンなどを発行する。

地方創生への貢献目指す

パソナグループとMK西日本グループは、本締結を通して、新たな交通サービスによる地方創生の実現と、都市部と観光地の交通案内のユーザビリティ向上による、淡路島を中心とした関西圏の観光振興に貢献することを目指している。都市部から淡路島までの移動の利便性を高めるとともに、観光客に快適で安心な移動体験を提供することで、淡路島の観光産業の活性化と、関西圏全体の観光交通の最適化を図る。