「サンクゼールの森」で生物多様性の音響データ収集を開始 AI解析ツールの開発に向けた共同研究に協力
「久世福商店」「St.Cousair」などの専門店を全国展開する食品製造小売企業、株式会社サンクゼールは、国立環境研究所・長野県環境保全研究所・静岡県環境衛生科学研究所・東邦大学が推進する共同研究「機械観測と市民参加型調査のシナジーをもたらす生物多様性音響観測支援システムの構築」に協力する。2026年4月9日、同社が長野県信濃町の信濃町オフィス敷地内で管理する「サンクゼールの森」にICレコーダーを設置し、継続的な音響データの収集を開始した。
本研究は、鳥類・昆虫・カエルなど鳴き声を発する生き物の音声データをAIに学習させることで、生物多様性調査を補強する新たな解析ツールの開発を目指すものだ。「サンクゼールの森」で取得する音声データは、季節や時間帯に応じた生き物の活動状況の把握や、出現状況・季節変動のAIによる可視化に活用される。得られた音声データは、将来的に一般公開が予定されている。
研究体制において、長野県環境保全研究所がサンクゼールとの連携窓口を担う。同社はこれまで2014年から10年以上にわたって信州大学教育学部森林生態学研究室(井田秀行教授ら)と植生調査・定点調査・森林整備などの保全活動を継続してきており、今回の取り組みではその蓄積にAI解析という新たな科学的アプローチが加わる形となる。
「サンクゼールの森」は約11万㎡の規模を有し、これまでの調査で植物・昆虫・鳥類等の生き物が約1000種確認されている。2025年12月には、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」として国から認定を受けており、今回の観測は長野県内の自然共生サイトで同研究に基づく取り組みが実施される初の事例となる。AIによる音響データの解析によって生き物の出現状況や季節変動を可視化できるようになることは、今後の森林保全活動の貴重な指標となる。同社は自社敷地を活用した研究への協力を通じて、新たな観測手法の確立に貢献するとともに、周辺地域との連携を強化しながら持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進していく方針だ。