環境省 地域・暮らしの視点で考える 自然と経済のエコシステム再構築を
環境省が推進する〈地域循環共生圏〉は、脱炭素社会のあるべき地域の姿でもある。世界全体が脱炭素に向け環境と経済の両立に挑むなか、地域の脱炭素・経済の存続をどう描くのか。環境事務次官の中井徳太郎氏に聞いた。
"需要サイド"から脱炭素社会
の経済・産業を考える
2015年のパリ協定、SDGs採択をふまえ、2018年に環境省が『第五次環境基本計画』で打ち出した〈地域循環共生圏〉。地産地消、自立・分散が同政策の基本だ。中井氏は「エネルギーも食も観光資源も、すべては地域にあるという発想に戻り、先端技術も取り入れながら地域資源を活用して社会を脱炭素に導いていくというのが〈地域循環共生圏〉の考え方です」と説明する。
地域循環共生圏(日本発の脱炭素化・SDGs構想)のイメージ菅総理の"2050年カーボンニュートラル"宣言で、日本政府も気温上昇を1.5℃までに抑え、気候変動を食い止める世界的な脱炭素の潮流に加わった。この先30年での脱炭素実現は、政策のあらゆる面にきわめて重要な影響を与える。
脱炭素というと、エネルギー政策に加え、企業のイノベーション創発を促進する"供給サイド"の施策イメージを持つ方も多いだろう。実際に、グリーン成長戦略では大規模な基金を創設し、脱炭素に向けたイノベーションを促すという方針が打ち出されている。
一方、〈地域循環共生圏〉では、地域というミクロのフィールドや国民一人ひとりの暮らしという"需要サイド"に焦点を当てる。
「2050年のカーボンニュートラルを実現するには、生活者の暮らし、地域の姿をどう変えていくかもポイントです。"暮らし"という需要サイドから見て腑に落ちる産業や経済、地域のあり方を考えていく必要があるでしょう」
こうした需要サイドの施策を議論する場として、昨年末に内閣官房長官を議長にした『国・地方脱炭素実現会議』が発足。"暮らし""社会"分野を中心に、省庁横断、自治体も巻き込んで国民・生活者目線での2050年脱炭素社会実現に向けたロードマップ策定を目指した議論が開始された。
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