ビジネスセクターが創る新しい経済 経済合理性を再構築する

SDGsの目標年まであと10年。SDGsがビジネスの前提となり、企業は思考の転換を迫られている。ビジネスセクターが取り組むべき、社会課題を生まない"新たな経済合理性の構築"について、オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEO 羽生田慶介氏の講義内容をダイジェストで紹介する。

羽生田 慶介 オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEO

GDPからSDGsへ変わる"モノサシ"

ビジネスとSDGsを考える際の前提として羽生田氏が指摘するのが「SDGsは、日本にとってますます勝ち目が薄くなるグローバル競争におけるゲームチェンジの福音である」ということ。GDPなど"旧来型モノサシ"での日本の順位は下降の一途をたどるが、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)らが発表する〈SDGs達成度ランキング〉では17位(2020年)。これは、SDGsという"新たなモノサシ"でゲームチェンジを仕掛けた欧州諸国を除くと最高水準だ。

GDPやQCD(品質・コスト・納期)の競争というゲームでの勝算が乏しくなった今、企業には、社会課題を解決しつつ、経済的利益を上げるという視点が必要と言える。

新たなゲームで勝つための
ルール形成

国内でのESG投資拡大の観点からも、利益への視点は不可欠だ。ESG銘柄が"高収益"となれば投資額は必然的に増加する。こうしたことから羽生田氏は、「ESGであれSDGsであれ、貸借対照表(B/S)から売上・利益の損益計算書(P/L)の話に移っていく」とする。つまり、SDGs・ESGは、今後、投資家からの評価といった"本社イシュー"から、商品やサービスの進化、調達など、売上とコストに結する"事業部イシュー"へと変化していくのだ。

SDGsを"事業部イシュー"と捉えた場合、「まずできる仕掛けが調達ガイドラインの進化」。東京五輪の〈持続可能性に配慮した調達コード〉が代表的だが、ビジネスセクターでも、大企業を中心に調達ガイドラインを定め、取引先に社会的責任への配慮を求めるケースが増えている。なかには取引条件など強制力を伴うガイドラインが設けられていることもある。

今後、こうしたルールに自社の業績が左右されることもあるだろう。一方で自らの強みを活かすガイドラインをデザインし、サプライヤーやベンダーを持続可能なビジネスに巻き込んでいくこともできるのだ。

人権がビジネスを左右する

そして今後、リスクだけでなく新たな市場にもなりうると羽生田氏が指摘するのが"人権"。欧米諸国を中心に人権に関する対応を義務化する法律が策定され、日本企業にも大きなインパクトを与えている。コーポレート・ヒューマンライツ・ベンチマークに代表される、ビジネスと人権に関する国際的イニシアチブによる大企業の人権への取り組みの評価において、日本企業は軒並み低スコアだ。自社サプライチェーンの人権状況を「把握すらできてない」ということが低評価の背景だ。

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