企業のR&D・技術活用動向から見る 繁栄する地域の条件

新型コロナウイルス感染症に加え、各地で不安定化する国際関係の下、企業活動のリスクは高まっている。先々の予測が難しい中でも、将来の生き残りを賭け、企業が研究開発投資を増やしている分野がある。さらに、困難な状況下でも人や企業を集め、繁栄したいと考える地域が満たすべき3条件を紹介する。

永井 歩(アスタミューゼ代表取締役社長)

コロナ危機、不安定化する世界情勢などにより企業活動の動向はどう変わっていくのか。知的財産や技術・事業のデータベースに基づき、企業向けに新規事業開発・技術活用コンサルティングサービスを提供するアスタミューゼ代表取締役社長の永井歩氏が語った。


̶̶コロナ後の知的財産や、企業の動向は。ビジネスにおいて国内志向が高まるなどの変化はあるでしょうか。

永井 まず、特許については出願から公開まで1年半の期間を置くことから、コロナの影響が特許出願動向として確認できるのはまだ先になります。ですので、アスタミューゼのクライアントからの依頼、プロジェクトの傾向からお話ししますと、コロナ禍の影響は単純なサプライチェーンの問題、すなわち海外から国内に事業を持ち帰ってくるという話ではない。フレームワークとしては、「海外と国内」よりは、「グローバルと地域」という区分があるように感じています。

地域への回帰、地産地消の模索

コロナ禍の下では、国境を越えた移動だけでなく、国内移動すら非常に難しくなりました。そこで地域の中での地産地消経済と、グローバルサプライチェーンの経済のバランスをどう取っていくか、というのが企業にとっての基本的な課題になっています。そして、危機をきっかけに見直されているのは、各地域のアセットやテクノロジー、ビジネスモデルです。地域の中にあるもの、例えば地域の各種空間や地域資源をベースにしつつ、テクノロジーを生かした新事業については、企業からのご相談は間違いなく増えています。

地域資源とは、例えば交通インフラであったり、観光資源であったり。都市部では確保できない広い空間も資源といえます。これらを使って、東京ではできないどのような取組ができるか。各社が検討を始めているようです。

都市と地域という構造に関しては、コロナ前からあった事実に皆が気づいてしまった、というところもあると思います。高い移動・物流・土地のコストをかけてまで様々な事業を東京でやる必要があるのか?、できるものはローカル・リモートでやったほうが費用に対する体験・価値の効果が良いのでは?、と社会の仕組みもその方向に最適化されつつあるので、コロナ禍が収束しても、以前に戻ることはないと感じています。


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