素材の基礎研究から実用化が間近 新半導体で地球環境に貢献

新しいパワー半導体素材を発見し、世界に先駆けて製品化を目指すノベルクリスタルテクノロジー。国内の半導体産業を再び盛り上げる役割を期待し、コロナ禍ではサプライチェーン補助金を獲得した。さらに、電力のロスが少ないデバイスの実用化を通じて、持続可能な社会への貢献を目指している。

倉又 朗人(ノベルクリスタルテクノロジー 代表取締役社長)

ノベルクリスタルテクノロジー(NCT)は、埼玉県狭山市にある研究開発型ベンチャー企業だ。半導体新素材の中でも、酸化ガリウムに焦点を絞った製法や応用製品の開発を進めている。1990年代前半まで世界トップを走っていた日本の半導体産業だが、今や中国などの後塵を拝するようになっている。もう一度、半導体に関連した事業を国内に取り戻すことはできるのか。日本の未来のものづくり産業の形を、NCTの取組から考える。

日本発のパワー半導体素材

NCTは2015年に設立された。創業時の出資者は、電子機器部品メーカーのタムラ製作所と、酸化ガリウムを研究していた国内の研究者たちだ。この材料を半導体に使うアイデアは、日本の研究者が発案したもので、実用化では日本が先行している。

酸化ガリウムは、もとは発光ダイオード(LED)用基板として研究されていた。タムラ製作所は、早期から酸化ガリウムLED用基板を開発していたオプトエレクトロニクス企業である光波を2008年に買収し、この素材の研究を開始。NCT社長を務める倉又朗人氏は、このころから酸化ガリウムの開発事業に関わるようになった。そして、「自分でこの材料を触っているうちに、パワー半導体としての用途が有望なのではないかと考えるようになりました」と振り返る。

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