2020年6月号
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未来を変える働き方

幸福学の研究者が説く これからのキャリア設計と事業チャンス

前野 隆司(慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授)

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今、働くことに対して、社員や顧客の『幸福』を問うマインドが高まっている。実際に、幸福な社員とそうでない社員で生産性や創造性に大きな差がみられるという研究成果も出ており、『幸せに働く』ことは、個人のみならず経済・社会の成長にも寄与することがわかっている。

前野 隆司(慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授)

〈働き方改革〉が叫ばれて久しい。労働時間の短縮や生産性の向上は進んでいるが、“働き方改革疲れ”感が漂う企業は少なくない。〈幸福学〉や〈well-being〉を研究する慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司氏は、「社員の幸福を追求することが働き方改革になる。経営者は迷ったら“幸せファースト”の判断を」と話す。

今なぜ、“働く人の幸福”が
注目されるのか?

従来、“幸福”という概念は宗教や哲学で扱う領域だった。しかし1980年代から心理学領域でも研究が進み、統計学的なエビデンスが得られる調査が行われるようになった。一方で、社会全体では経済成長が鈍化し、「モノの豊かさより心の豊かさが必要」という考え方が強まった。「研究の進歩と社会の要請が両輪となり、“働く人の幸福”を求める動きが加速したのでしょう」と前野氏は話す。

世界幸福度ランキング

国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が今年3月に発表した世界幸福度ランキング。各国民の主観的幸福度を測るこのランキングでは、①一人あたりGDP、②社会的支援、③健康寿命、④人生の選択の自由度、⑤(他者への)寛大さ、⑥腐敗の認識、という6つの指標の割合が示されている。②は他者とのつながりがあるか、④はやりがいや生きがいにつながる自己決定感、⑤は利他性と言い換えることもでき、前野氏の指摘とも重なる

 

心理学領域ではアンケート手法による〈人生満足度〉などの調査が行われてきたが、近年は脳波をはじめ、表情や声質などの生体データによる幸福度の測定が行われており、“幸福”に関して数値的なエビデンスも出はじめている。“幸せな人は健康・長寿”であることもこういった研究で明らかにされたひとつだという。

前野氏は〈みんなで幸せでい続ける経営研究会〉を運営し、働く人の幸福度を測り、企業の取り組みが働く人にとってどうよいのかを共有するとともに、自社がすべきことを考える場を提供している。この研究会に、十数社の大手企業経営者も参加していることは“働く人の幸福”への注目の高さを表すものだろう。背景には、「経営理念への立ち返りや、“働き方改革疲れ”がある」と前野氏は指摘する。

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