シリコーンを活用、地域のインフラ老朽化の課題に挑む

企業におけるSDGsの実践をテーマに研究・教育を行う〈SDGs総研〉では、SDGsに資する新事業を開発する1年間の研究会を実施している。研究員のニッシリ・岩田和之氏に話を聞いた。

岩田 和之 ニッシリ 東京営業第二部長

建築・土木資材や食品容器、化粧品など、あらゆるものに活用されている素材・シリコーン。シリコーンの専門商社であるニッシリで東京営業第二部長を務める岩田和之氏は、「事業開発プロジェクトのマネジャーに任命され、新素材や新サービスの開発を担う立場となりました。モノ売りだけでなく、コト売りやサービスも重視される今、社会課題の解決という視点も必要だと考えるなかでSDGsを知り、社としてもこれを推進すると後押しされ研究会へ参画しました」と語る。

インフラ老朽化に
素材とアイディアで貢献

岩田氏の研究テーマは"災害や老朽化に強いまちづくりのシステム"。わが国では戦後以降に整備されたインフラの多くが更新時期を迎えているが、更新が進まず、事故が起こる事態も招いている。社会との接点を探るなかで地域の祭りなどに参加し、学校関係者等ともつながりを持つようになったところ、人員・予算不足で施設の補修ができず困っていると相談されたという。

そこで岩田氏は自社で販売しているシリコーン製シートの活用を考えた。シートを貼るだけで防水や老朽化の原因であるサビの進行を抑えるためインフラの長寿命化が図れる。これにより人や予算のやりくりがしやすくなる。実際に老朽化した配管や水路、歩道橋等の補修に使用したほか、同社が立地する渋谷区での落書き対策としての活用も検討している。「インクが乗らないよう加工したシートを貼ることで落書きを防ぎます。実験したビルでは、付随的にゴミの放置もなくなりました」。対策を考える際には、"落書きする側"にも目を向けようと研究者にコンタクトを取り、意見を聞いたという。

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