東京のポテンシャルを生かせ ポスト2020への都市戦略

世界の都市間競争が激化している中で、東京をはじめとした日本の都市には、どういった戦略が求められるのか。「クリエイティブシティ」や「テックシティ」の実現など、ポスト2020に向けた都市戦略について、A.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明氏に話を聞いた。

梅澤 高明(A.T.カーニー 日本法人会長)

都市の競争力は「人的資源」で決まる

――グローバルにおける日本の都市の競争力をどのように見ていますか。

梅澤 各種のグローバル都市ランキングで東京は上位に位置しています(図参照)。東京には「フォーチュン500」に入るような大企業の本社がたくさん集積しているほか、食の魅力や豊富な文化コンテンツもあります。さらに、ニューヨークやロンドンと比べると、東京は賃料と物価が安くてコストパフォーマンスが非常に高い。これも大きな強みです。

A.T. カーニー「グローバル都市調査」

出典:A.T.カーニー資料

 

問題は、こうした強みが世界の人たちに十分に理解されていないことです。東京のポテンシャルからすると、世界の評価はまだ低すぎると感じています。


――なぜ評価が低いのでしょう。

梅澤 都市の競争力を左右する最も大きな要因は「人的資源」です。日本の都市の弱点は、多様性に乏しく移住者の才能を活用できていないこと。

ニューヨークやロンドンのようなランキング上位の都市では、都市の競争力を担う人材の半分がローカル、残り半分は外から来た人たちです。世界中から優秀な人たちが集まって定着し、活躍する。そういう都市にならなければ、世界への発信力を高めることはできません。

都市のデジタル化へ
課題はマネタイズの難しさ

――梅澤会長は、ポスト2020の東京を世界一魅力的な都市に生まれ変わらせるために、2014年にNEXTOKYOプロジェクトを結成し、2017年には著書『NEXTOKYO』を発刊されました。現時点の東京について、どのように評価されていますか。

梅澤 『NEXTOKYO』では、東京が目指すべき方向性として、「クリエイティブシティ」「テックシティ」「フィットネスシティ」の3つを掲げました。東京の再開発もかなり進みましたが、我々が期待していたものと比べると、ハード偏重の開発プロジェクトがまだまだ多いと感じます。

重要なのはハコよりもコンテンツ。東京が世界をリードするクリエイティブシティになるためには、原宿・渋谷、秋葉原、六本木、池袋など、それぞれの街が個性あるコンテンツを徹底的に磨かなければなりません。

世界にはニューヨークやロンドン、バルセロナなど、クリエイティブシティと呼べるような都市がいくつかありますが、それぞれにユニークな魅力があります。クリエイティブシティは、どこかの都市が一人勝ちするようなものではありません。金融の都市間競争でマネーが一ヵ所に集中するのと比べると、文化やクリエイティビティは分散系です。

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