都市の「複雑性」が創造の源泉 イノベーターを育む地域づくり

都市や地域においてイノベーションが持続的に起こるエコシステムとは、どういったものか。各地で事業創出プログラムを展開するリ・パブリック、田村大代表に、イノベーターを輩出する都市の特徴、創造性を育むまちづくりについて話を聞いた。

リ・パブリックは、持続的にイノベーションが起こるエコシステムを研究し(Think)、実践する(Do)するシンク・アンド・ドゥ・タンク。各地のキーパーソンとつながりながら、新たな事業が生み出される場づくりを行っている

イノベーションとは、
新たな文化を生み出すこと

――都市や地域におけるイノベーションの可能性について、どのように見ていますか。

田村 まずは、「イノベーションとは何か」を考える必要があります。イノベーションとは経済的インパクトを生み出すことだと捉えると、東京と地方でどちらがイノベーションを起こせるかといえば、間違いなく東京でしょう。

田村 大(リ・パブリック 共同代表)

しかし、そもそもの出発点として、イノベーションとは経済的インパクトだけで測れるものではありません。私の考えるイノベーションとは、新しい価値や文化を生み出すこと。新しい働き方、学び方、暮らし方などの文化を生み出すのがイノベーションです。

イノベーションは後戻りしないような変化を起こし、人の行動や習慣、価値観をそれ以前とは異なるものに変えていきます。例えば、スタートアップなどと比べて、古い体質の大企業でイノベーションが起こりづらいのは、人の行動や習慣、価値観を変えるのが大変だからだと思います。

そういう側面で考えると、イノベーションを生み出す場所として、地方が必ずしも不利なわけではありません。むしろ大都市よりも優位な点もあります。

地方では、新しいことをしようとする時のコストが安く、人以外のリソースも豊富にあります。人以外のリソースとは、例えば土地や一次産物、地元企業の技術や素材、地方大学の研究成果などであり、東京と比べると、それらに圧倒的にアクセスしやすい。

また、大都市で官民連携などを進める場合、いくつもの段取りを踏まなければならず、たくさんの関係者がいて手続きに時間がかかります。一方、地方ではそうした煩雑な手間を一気に省いて、キーパーソンに直接アクセスして話を進めることも比較的容易です。

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