クラウドサービスで観光地経営をサポート

JTBが提供する、観光地経営に役立つ「エリアアナライザー」。地域のデータを集約して可視化し、地域の問題解決を支援する。クラウドの採用で、各地の実情に合わせた運用を可能にした。

徳政 由美子 株式会社JTB 法人事業本部 地域交流事業チーム デジタルマーケティング推進担当マネージャー

JTBが、同社の地域交流事業の一環として、地域観光マーケティング用クラウドサービス「エリアアナライザー」の提供を開始したのは2018年10月のこと。提供開始直後から反響も大きく、既に実用化が進んでいるという。

このSalesforce上のクラウドサービスでは、自治体・観光関連事業者の利用を想定し、必要な機能を取りそろえた。開発と導入支援を担当するJTB法人事業本部 地域交流事業チーム デジタルマーケティング推進担当マネージャーの徳政由美子氏は「JTBが手掛けた地域活性化の取組で、自治体の施策やイベント時に必要なサービスを発展させ、プラットフォーム化したものです。他社サービスとも接続できます」と説明する。

観光立国の実現のためには、日本の観光地・観光コンテンツのためのマーケティングは不可欠だ。観光庁では、地域観光経営のためのデータ収集や分析、戦略立案などの役割を日本版DMOが担うことを期待している。しかし、都市部の大企業では専門職のチームが担っている業務を、日々の業務に追われる地方のプレイヤーがゼロから実現するのは極めて難しい。

そこでエリアアナライザーでは、このような業務をJTBのノウハウを活かして支援することを目指している。地域で消費活動をする様々な来訪者・居住者と、これから訪問しそうな来訪者候補に関するさまざまなデータを取得・集計し、可視化。事業者は可視化されたデータをもとに、着地型商品の開発や改善、プロモーションなどを検討できるようになるのだ。エリアアナライザーの機能を使って実現できるものとしては、観光客向けのアンケート調査や、クーポンの発行と利用結果の集計、旅行者の行動予測に基づくキャンペーンの実施や、ウェブサイトと連動した情報発信などがある。

JTBがエリアアナライザーをクラウドサービスとしたのには理由がある。デジタルマーケティングは進歩のスピードが速いため、汎用性・拡張性が低いシステムは長続きしない恐れがある。一方で、地域観光マーケティングのためには、数年間にわたってデータを残し、分析したいというニーズが強い。そこで、柔軟な運用ができるように設計した。地域の課題に応じて取得するデータやその手段はカスタマイズでき、利用期間や規模も選べる。アソビューとJTBが共同開発した旅行商品の販売管理システム「エリアゲート」との併用も可能だ。

導入と運営はJTBが支援
DMOをマーケティング勝者に

地域により、実現したい目標・ありたい姿は異なるため、マーケティングで蓄積すべき情報は全国一律とはならない。JTBでは、エリアアナライザー導入の際にはコンサルティングを併せて提供することで、同サービスをユーザーが活用できるようにした。

「導入のための話し合いをする中で、これまでに蓄積してきた紙やEXCELベースのデータが出てくることもあります。バラバラになっているデータをクロス集計し、オンライン上で可視化すれば、新しい発見があります。また、地域を訪れる人のカスタマージャーニーを真剣に考えるきっかけになった事例もあります」。

現在、観光客の誘客に問題を抱えている地域の多くは、デジタル化から取り残されている。ネットに情報がないため未活用の地域資源はまだたくさんある。JTBでは、世界に向けて販売できるような観光コンテンツがICTを活用した各地域で生まれ、地域経済が活性化されることを目指すとともに、過剰な来訪者で地域住民の生活の負担になることのない観光の在り方を、データを通じて模索している。

 

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