アソビュー 顧客の情報から魅力的な体験観光をつくる

観光地での「遊び」の販売プラットフォームを運営するアソビュー。地域の体験観光事業者に向け、データ分析サービスも提供している。目指すは、デジタル活用による観光産業の高利益率化だ。

山野 智久 アソビュー代表取締役社長

都市部で日帰りできる体験から秘境探検まで、様々な「遊び」の予約・購入ができる日本最大級のマーケットプレイス「アソビュー!」。このサイトを運営するアソビュー代表取締役社長の山野智久氏は、各地域で、『遊び』の創出に力を入れてきた。

魅力的なアクティビティは
顧客を知ることから

山野氏が事業活動の中で実感してきたのは、売れるアクティビティを作ることの難しさだ。「楽しいことが他にたくさんある中で、5000円を出してでもやりたいと思う着地型観光商品を作り出すのは難度が高い仕事です」。

山野氏は、地域で生みだされた体験型観光のアクティビティが、必ずしも観光客のニーズに基づいて作られていないことを憂慮している。地域が観光資源だとみなしているものは、本当に観光客にとって価値があるものなのか。冷静に判断し、ニーズに合わせた観光体験を提供できるように体制を整えていく必要がある。

とはいえ観光客側も多様化している中、何の根拠もなく商品開発することは難しい。そこで山野氏は、顧客ターゲットを割り出し、それを起点にサービスを考えていくことを提案している。そこで役立つのが、これまでに着地型観光を体験した人のデータだ。アソビューでは、データの活用法が分からない、分析のための時間がないという地域の体験事業者に、分析業務を代行する管理ツールを提供している。

「ネット予約を通じて、観光商品を購入した人の属性は集まってきます。マーケティングの知識がない事業者でも活用できるように見せ方を工夫しています」と山野氏。事業者と顧客の関係を維持しながら、商品の地道な改善を続けていくことが、地域の観光消費額を上げる大きな変化になるという。

山野氏は、自社の最大のライバルは、パンフレットなど紙ベースの観光地の情報提供や、手書きの利用申込書だと考えており、紙からデジタルへの移行の利点を積極的に推奨している。例えば、窓口対応人員の確保が難しい事業者にとって、人手が不要なオンライン予約を使えば、大きな生産性向上となる。また、顧客データの蓄積も、紙からPCに転記する時間は確実に節約できるし、来訪する顧客の背景分析や接点の維持がしやすくなる。アソビューのシステムを導入した事業者には、蓄積したデータを利用して、より売り上げにつなげた例も出ている。

観光地を擁する地域にとっても、そこで着地型観光を楽しむ客層が把握できれば、観光インフラを整備する際の根拠にもなる。例えば乳幼児連れの家族が多く遊びに来る地域では、トイレや授乳室をそれに合わせて整備すればさらに評判を上げられる。「来訪顧客が可視化できるだけで、より効果的な資源配分ができるのです」と山野氏は話す。このようにデジタル化を推進する際には、地域の事業者のICTに対する苦手意識をなくすことが重要だという。

観光庁が2018年に設置した、世界水準のDMOの在り方に関する検討会では委員を務める山野氏。現在考えているのは、観光デジタルマーケティングの質と費用対効果の向上だ。観光地が集客を目指してウェブサイトを開設し、多くの人が閲覧したとしても、実際の来訪がなければ地域経済の活性化にはつながらない。

地域が観光で稼げるマーケティング施策に資源を配分できるよう、「マーケティングの目標設定や、数値目標の選択と設定、施策の効果測定など、地域が予算を出すに値するようなデジタルマーケティングの品質基準ガイドラインを作成していければ」と山野氏は今後の展望について語った。

 

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