移動問題を解決するWILLER 550万人の会員がサービス改善の源

顧客の声を活用する徹底したマーケティングで、たゆまずサービスの改良を続ける。地域の交通課題を解決すべく、MaaSによるデータ収集にも期待する。

宿谷 勝士 WILLER 取締役

WILLERは、移動ソリューションを提供する会社だ。快適でローコストな高速バスネットや鉄道、レストランバスやまちなか交流バス「IKEBUS」など、移動に新たな価値を創造し続けている。社会や地域が抱える人の移動に関する課題解決に取り組む企業でもあり、2015年には、人口減に悩む京都府北部と兵庫県北部を沿線に持つ京都丹後鉄道の運行を上下分離方式にて開始。また豊岡市に、顧客の問い合わせに対応するサービス拠点を開設し、周辺地域の雇用創出にも貢献している。ASEANや日本で、IT・マーケティングを活用しながら、自動運転やライドシェアサービスなどに挑戦する。

会員の心理を把握し
新しいサービスにつなげる

WILLERが重視しているのは「顧客の声」だ。「利用者の目線、使っている人たちの声に耳を傾けることで、課題の本質が見えます」と、同社取締役の宿谷勝士氏は話す。例えば、「寝顔を見られたくない」という女性利用者の意見から、顔が隠れる「カノピー」というフードを各座席に導入したり、女性の隣席には女性が座るよう、席の配置を決めるようにした。最近ではLINEやAIチャットボットの機能を用いて、リアルタイムで利用者の声を反映できる体制にしている。

このような顧客の声の源が、「WILLER会員」だ。2019年12月現在会員数は約550万人。会員との顧客関係管理には、Salesforce CRMサービスを活用する。「顧客の声を拾い上げ、次のサービスにつなげるためには、デジタルマーケティングが不可欠です」。

それぞれの顧客が求めるものは、かつてないほど多様化していると宿谷氏は感じている。価格が手ごろであることだけでなく、時間を有効に使えるかや、安全性・乗り心地などの価値を重視する人もいる。それぞれにマッチしたサービスを作るために、WILLERでは顧客の属性や、利用の履歴などに応じて分類し、活用している。

「顧客とのつながりを長期的に維持し、リピーターにつなげることが大切です。それには、一人ひとりのお客様を大切にすること。つながりを保つための施策がきちんと機能しているかの検証も実施しています」と宿谷氏。アクティブな会員を増やし、顧客の声をもとに商品開発を行い、良い商品がさらに利用者を惹きつけるというサイクルを回すことが目標だ。顧客の体験価値を向上させ趣味嗜好などの些細な情報もしっかりキャッチし、一人ひとりにあわせた提案ができるようプロセスを踏むことで、本当に良いサービスが生まれると同社では考えている。

WILLERでは、移動をサービスに変えるという概念のMaaSも、移動中に感じる様々なストレスを減らすことができ、各地で起きている社会課題を解決するソリューションの一つととらえ、力を入れている。

例えば、行きたい観光地や体験したいアクティビティと、交通手段を1つのアプリで検索・予約・決済できるMaaSアプリ「WILLERSアプリ」を開発。2019年8月にはひがし北海道エリアと京都丹後鉄道沿線エリアでサービス提供を開始した。

MaaSについては、単なる利便性向上を超えた効果を期待している。日本各地でより便利な移動手段が求められている一方で、高齢化や人手不足、人口の一極集中などで既存の移動手段がうまく機能せず、様々な不具合が生じている。しかしその不便さが数値として把握されている例はまれだ。それぞれの地域にあったMaaSを導入することで、地域の移動に関する様々なデータを収集可能になる。まずはツールとしてのWILLERSアプリの導入地域を増やして行くことを計画している。

 

お問い合わせ


株式会社セールスフォース・ドットコム
担当営業もしくは以下お問い合わせ窓口へご連絡ください
TEL:0120-733-257
URL:www.salesforce.com/jp/form/contact/contactme_new/

 

この記事に関するお問い合わせは以下のフォームより送信してください。