江戸てん 越境ECで日本郵便を活用 海外への商品発送を簡単に実現
日本の伝統的な甚平や半纏などのオリジナル商品を製作、販売する株式会社江戸てんのECサイトは、海外の顧客に人気だ。その海外への商品配送では日本郵便の国際宅配便サービスを利用することによって、様々なメリットが得られるという。
日本郵便のUGXを利用し
海外への販売手続きを簡素化
茨城県取手市の株式会社江戸てんは、作務衣(さむえ)や雪駄(せった)、甚平、半纏、和柄Tシャツなど和風のオリジナル商品を製作、販売している。日本の伝統的な商品を扱っていることから海外での人気が高く、ECサイトを通じた海外の顧客への販売が多い。
江戸てんが海外の顧客向けに「越境EC」を始めたのは、2014年のことだ。「きっかけはアマゾンが日本の出店者に対し、米国のアマゾンでも販売できるようサポートを始めたことでした。出店方法や商品登録など様々な点でサポートを受けられるので、始めることにしました」。
江戸てん代表取締役社長の穴沢あけみ氏は、越境ECを始めたきっかけをこう説明する。越境ECを開始した当初は、米国への商品配送をいくつかの会社に依頼していたが、問題も少なくなかった。そして試行錯誤の結果、たどり着いたのは、日本郵便の国際宅配便サービス「ゆうグローバルエクスプレス(UGX)」だ。UGXの1つの特長は、関税を元払いできることだ。また、従来は一旦、インポーター(代理輸入者)に商品を送ってから米国のアマゾンに届ける必要があったが、UGXのサービスを利用することで米国のアマゾンに直接、送れるようになったという。
越境ECが増加する中、従来の国際郵便がEC事業者の配送ニーズに対応できない状況が増えていたことから、日本郵便では2014年にUGXを開始。2017年にはさらに、越境ECの輸出入代行を行うアラウンド・ザ・ワールド社と提携し、「UGX Amazon FBA相乗り配送サービス」も始めた。
日本から海外に商品を送って関税が生じた場合、国際郵便サービスでは受取人が関税を支払う仕組みになっている。しかし、越境ECやB to Bの宅配では、事業者は受取人に関税を負担させられない。これに対応したのが、関税を元払いできるUGXのサービスだ。さらにUGXには、ウェブ上の「オンラインシッピング」で情報を入力すれば、発送用のラベルやインボイスも簡単に作成できる。
多くのEC事業者にとって、越境ECに伴う通関手続きは非常に手間がかかる。これを簡素化したUGXは好評で、取扱数は急激に伸びている。江戸てんでもUGXの活用によって越境ECの手続きを簡素化し、低価格で米国アマゾンの倉庫に直接、商品を配送することが可能になった。
「従来は越境ECを始める際、最初につまずくところは関税の部分だったと思います。お客様に関税を払っていただく訳にはいきませんから、UGXの元払いは助かります。日本郵便のサービスを利用することには、他にも様々なメリットがあります。例えば、商品の素材がワシントン条約に違反していないかといった、多くのEC業者にとって判断が難しい部分でも、気軽に質問できます」。
江戸てんでは日ごろ、商品の製造や在庫の補充のような作業で忙しい状態が続いているが、UGXのFBA相乗り配送サービスを利用することで海外向けの発送がしやすくなった。また、この仕組みを活用することで、税関で荷物が止められることもなくなり、米国の顧客への配送が迅速化された。顧客からは、「早く届いてよかった」というレビューも寄せられている。さらに、日本郵便は全国に拠点を持っており、集荷や様々な相談にも幅広い地域で対応できる。
江戸てんの越境ECは当初、米国を対象としていたが、現在はヨーロッパやオーストラリアにもその対象を広げている。「海外で対象地域を広げることには、ハードルもあります。例えば、ヨーロッパの場合、付加価値税(VAT)番号取得のための登録が必要となるのが特に大変だと思います。そういった点でも、日本郵便の方に相談できるので助かります」。
越境ECの対象地域を広げ
世界に向けて製品を販売
江戸てんのEC事業では、B to Cが大部分を占めている。メインの商品は抜染によるオリジナル商品で、海外の顧客からの注文は、特に座禅に使う座布やヨガ関連の商品が多いという。着物や浴衣も海外で人気がある商品で、江戸てんの越境ECによる売上は上昇し続けている。
2017年には、ニューヨークで開かれるイベント情報を知人から聞き、商工会にも相談して出店したところ、大きな反響があった。「私たちの商品はニッチなもので、その市場は決して大きくないはずですが、意外と多く売れています。今後はさらに越境ECの対象地域を広げて、世界に売っていくことを目指します」。
江戸てんでは世界の顧客に向けて、今後も新商品の開発を積極的に行っていく方針だ。例えば、白のシャツを抜染した製品や、プリントしたストッキング、草履と共に履けて和装にも使える五本指のストッキングなど、現在も様々なオリジナル商品を企画している。
「今は同じものを大量に作って、大量に売るという時代ではなくなってきています。自分たちが『いいな』と思って作った商品を販売すると、そこにファンが増えていきます。ECサイトを通じて海外の商品を購入することが当たり前となる中で、日本にあるものを海外で販売する際の複雑な手続きがさらに簡素化され、国内と同様に商品を販売できるようになれば良いと思います」と穴沢氏は言う。日本のどこかでECサイトに出品すれば、そのまま世界に向けて売れるという状態になれば、「越境EC」という言葉もなくなる日が訪れるかもしれない。
お問い合わせ
UGX(ゆうグローバルエクスプレス)
MAIL:ugx.ii@jp-international.jp
この記事に関するお問い合わせは以下のフォームより送信してください。