NTT西日本 未来から今を考え、ICTによる課題解決の先駆者に

2025年に向けた中期経営計画において、高い目標となる未来像を掲げ、ICTの会社として、「地域創生クラウド」による自治体の課題解決にも力を注ぐ。NTT西日本の戦略と構想について、小林充佳社長に話を聞いた。

小林 充佳(NTT西日本 代表取締役社長)

「ムーンショット」の実現を目指す

――現在の経営環境をどのように見ていますか。

小林 この30年間で情報通信を取り巻く環境は大きく変化しました。インターネットやモバイルが普及し、いまやIoTなども登場して、情報通信分野は目覚ましいスピードで拡大しています。NTT西日本も、これまでのような固定通信だけでは通用しません。今後はICT(情報通信技術)やIoT関連のサービスを事業の柱にします。

日本は課題先進国であり、人口はすでに減少し始めています。特に深刻なのは労働人口の減少です。NTT西日本はICTを活用して、この課題解決への貢献ができると確信しています。

ただし、当社が単独で取り組むわけではありません。企業や自治体、アイデアをお持ちの方々などと協力しながら、持続可能な社会を築いていきます。

――NTT西日本は、2025年をターゲットにした中期経営計画を発表しています。

小林 私たちが目指す2025年の姿は、お客様の課題解決をICTでサポートする「ソーシャルICTパイオニア」です。その実現のためには、NTT西日本が提供する価値をもっと高めなければいけません。

私は、今回の中期経営計画は「ムーンショット」だと考えています。ムーンショットとは、かつて米国のケネディ大統領が人類を月に送ることを目標に掲げたように、既存の延長ではなく、まずは自分たちが目指す未来を描き、そこから今とるべきアプローチや戦略を考えることです。NTT西日本が「ソーシャルICTパイオニア」へと変革を遂げるのは容易なことではなく、大きなイノベーションが求められる挑戦です。

中堅・中小企業や
地域が抱える課題を解決

――2025年には、ICTを活用した課題解決サービスなどの成長分野で売上高の6割をあげることを目標にされています。具体的には、どういった新規事業や新サービスに取り組まれていますか。

小林 当社は今、幅広い分野で課題解決に取り組んでいます。

例えば、すでに働き方改革に取り組まれている大手企業は多いのですが、中堅・中小企業は、何をすればよいのかわからずに未着手のケースがあります。そこで、当社がICTを提供して社員の働き方に関するデータを収集し、それを分析してRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション、業務の自動化)の導入につなげるなど、生産性向上に貢献しています。このICTサービスは、中堅・中小企業から高い関心を寄せられています。

ドローンを活用し、老朽化している社会インフラの老朽化を点検(写真はイメージ)

他にも、コールセンターでのAI活用も進めています。お客様との会話をリアルタイムでテキスト化し、AIがそこからキーワードを抽出して、同様の問い合せがあった時に適切な情報を自動で提供します。データが蓄積されるにつれて、オペレーター業務もどんどん効率化していきます。

あるいは、そうしたコールセンターの業務をすべて当社が代行することもできます。これは「ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)」というサービスですが、通信関連にとどまらず、人事・経理業務の代行などに拡大しています。こうしたサービスも、働き手不足に悩む中堅・中小企業の課題を解決します。

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