アフリカ産「豊かな」天然素材を日本へ 持続可能な事業をつくる

アフリカ、ガーナでは一般的な食用植物であるモリンガと、保湿クリームに用いられるシアバター。VIVIA JAPANは、食やスキンケアの切り口から、アフリカ産天然素材の日本での普及を目指す。アフリカとのビジネスで感じる持続可能なビジネスのあり方とは。

乾燥地でもよく育つモリンガ。種子から採取するオイルや、栄養豊富な葉を利用する

産業インフラの整備が遅れているアフリカでは、輸入依存の経済構造から脱しようと、輸出品を探している国は多い。モリンガ(ワサビノキ)はガーナでは薬効のある木として知られ、日常的に食されている植物だ。ガーナでは10年ほど前から商業用のモリンガの生産が始まり、ここ5年で生産量が拡大している。シアバターはガーナの昔ながらの特産品で、生産は女性の仕事とされている。VIVIA JAPAN 株式会社 代表取締役の大山知春氏は、アフリカの天然素材であるモリンガのオイル・パウダーや、シアバターを用いたスキンケア製品や食品を企画・販売している。

大山 知春(VIVIA JAPAN代表取締役)

大山氏は原料を買い付ける際、生産者の言い値で買い取っている。現地で生産されているものを最大限に活かし、いかに目の肥えた日本の消費者に受け入れられる最終製品にするか、付加価値をつけて届けるビジネスだ。

「アフリカで起業して、現地への社会貢献をアピールする企業がありますが、私は現地の課題は現地の人が主体となって考えるべきだと思います。ですから、課題解決意識を持った生産者と取引をし、彼らのビジネス拡大を手助けできればと考えています。それが、サステナブルな変革のあり方だからです」。

アフリカの成長性・市場に魅力を見出し、世界各国からさまざまな企業が進出している。先進国の大資本が現地のビジネスモデルを真似て大規模に展開することで、地場のエコシステムを壊してしまうケースもある。SDGsウォッシュと呼ばれる振る舞いに、現地の反応は批判的だという。

アフリカの社会や産業構造には植民地支配の歴史が色濃く残っている。極端に安い賃金で雇用し生産したものを、"安くてよいもの"として売る。これにより、アフリカの商品は安いという評価が定着してしまう。南アフリカ産のワインは安くて美味しいというイメージがないだろうか。南アフリカのワイナリーの多くは旧宗主国であるイギリス・オランダ系白人の農園主によって経営されている。彼らが低賃金の現地雇用で安価なワインをブランディングしたためだ。

南アフリカ産のワインにフランス産のような価格をつけることは難しい。付加価値を加える方法としてフェアトレード認証が挙げられるが、これだけでは解決にならないと大山氏はいう。

認証の仕組みは必要だが、価格の上昇分は認証料に補填され、すべてが生産者に還元されるわけではない。むしろ生産者との取引価格が正規の市場価格より安い場合もあるという。

「VIVIA JAPANでは、誇りを持って物づくりをする現地の生産者と取引をして、生産者、消費者、かかわる人全員が豊かになるような事業展開を心がけています。現地の生産者や歴史的・文化的背景を本当に知っていれば、フェアトレード認証などの制度に頼る必要はないと考えています」。

金融業からガーナでの起業へ

大山氏は金融業界の出身だ。留学先のビジネススクールでガーナ人のクラスメイトに出会う。キャリアアップ目的の先進国出身者が多いなか、彼は自国のために何ができるかという動機でオランダまで学びに来ていたという。

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