岡山大学 地域のSDGs経営を支援し、世界のリーディング大学へ

持続可能な開発のための教育(ESD)にいち早く取り組んできた岡山大学。その蓄積を生かし、自身の大学経営にSDGsを取り入れ、行動を起こしてきた。さらに、地元の活性化に向け、地域の企業・自治体のSDGs実践支援を手掛けていく考えだ。

横井 篤文(国立大学法人岡山大学 副学長(海外戦略担当))

大学の行動指針にSDGsを掲げ、その達成に貢献する取り組みを全学で推進する岡山大学。2017年には、国公立大学で唯一の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞した。2019年は「SDGs経営元年」とも位置づけられる。SDGsを基盤とした経営のため、企業・大学・地域はどう取り組むべきか。岡山大学の副学長・海外戦略担当(Vice President for Global Engagement Strategy)として世界の動向に通じ、地域の拠点大学として企業に対する講演なども行う横井篤文氏に聞いた。

もともと国際都市計画・建築設計・持続可能な開発を専門とする横井氏。横井氏が岡山大学に着任したのは、SDGs採択イヤーの2015年だ。岡山大学をSDGs時代に合わせた世界のリーディング大学として飛躍させることを目標に、副理事・国際担当を経て、2018年に現職に就任した。

「岡山大学は持続可能な開発のための教育(ESD)への取り組みを世界に先駆けて10年来続けてきました。そうした基盤を活かし、さまざまな取り組みを世界につなげる、発信する、シーズを開拓するのが私の役割です」。

世界の動きをみてみると、SDGsに対し、企業が動くためのエコシステムができつつある。世界では今、総額1京円と言われる投資マネーが動いているが、その4分の1にあたる約2500兆円がESG投資に振り向けられており、今後この割合はますます増加していくという。これはまさに、SDGsへの投資が活発化していることを示している。

投資と聞くと、どうしても大企業を連想しがちだが、サプライチェーン全体のサステナビリティが問われてくるなか、中小企業もこの流れに巻き込まれていくことは避けられない。中小企業にとってはリスク回避の意味もあるが、SDGsに積極的に取り組むことで世界の大きな波に乗れるチャンスとも考えられる。

「攻め」と「守り」のSDGs

SDGsの取り組みには3段階あると横井氏はいう。レベル1はSDGsの認識。レベル2は自身の現状の取り組みをSDGsに当てはめる、ラベリング・マッピング・関連づけの段階。日本の企業・自治体の多くが、現状、1か2のレベルにある。しかし、世界はすでにSDGs経営の戦略策定と実施というレベル3の「アクション」の段階に進んでいる。

岡山大学では11学部8研究科、すべてのプロジェクトをSDGsにラベリング・マッピングすることを進めており、「SDGsの達成に向けた岡山大学の取組事例集」も版を重ねて発信している。こうした関連づけにより、学部ごとの関係性がみえてくる。そのなかで気づきが生まれ、新しいプロジェクトへつながる「アクション」が生まれるという。

中小企業がSDGsに取り組む場合、具体的な進め方に関するマニュアルやガイドラインを求める声も多い。実は、こういったニーズに応じたガイドラインはすでにさまざまなものが提供されている(下の表)。

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