定住外国人向け住宅を開発 外国人が地域に根付くまちづくり

持続可能なビジネスモデルの構築と、社内環境の整備を進めた三承工業。低価格の注文住宅事業を立ち上げ、定住外国人向けの分譲住宅も好評だ。女性の活躍推進など、SDGs目標達成に向け積極的に取り組み、国内外から注目を集めている。

西岡 徹人(三承工業 代表取締役)

岐阜県の南部に位置する美濃加茂市内に「定住外国人向けの分譲住宅」がある。この分譲住宅を手掛けるのは岐阜市に本社を置く建築会社、三承工業だ。三承工業では、美濃加茂市の隣の可児市に外国人のお客様専用窓口「SUNSHOW Global Offi ce」も設置して、サポートを充実させている。

ひとり親家庭や高齢者にも新築を

創業当時の三承工業は、典型的な建築企業だったという。同社が、外国人顧客のサポートの充実やSDGsへの取り組みなど、ステークホルダーとの共存を重視する方向へと変わるきっかけとなったのは、代表取締役、西岡徹人氏の青年会議所での体験だったという。

「創業当初は、どうしたらお金を稼げるかしか考えていませんでした」と西岡氏は振り返る。しかし青年会議所での人との関わりや活動を通して、問題を解決することで人々に喜ばれることの意義を実感した。

そこで2012年から、会社運営の軸に「社会課題の解決」を据えて「全ての皆様に感謝の心で愛情と想いやりのある人・物創り」という理念を打ち出した。そしてリリースしたのが、780万円からの低価格注文住宅「SUNSHOW夢ハウス」だ。当時、三承工業は売り上げの低迷に直面しており、下請けからの脱却を目指していた。そこで、自社独自のプロジェクトとして、ひとり親世帯や高齢者、外国人など、住宅購入を諦めている層に向けた低価格住宅を売り出したのだ。

「SUNSHOW夢ハウス」。資材の共同仕入れ等で、価格を押さえつつ品質の良い住宅の提供を可能にした

西岡氏は「自分自身が母子家庭だったので、そういう人でも家を持つことができないか?と考えました」と語る。価格を抑制することで、住宅購入が可能になるだけでなく、住宅ローンで家計が圧迫されるという事態も防げる。また、節約で生じた資金を、別の目的や子どもの教育に投資することもできるようになる。低所得家庭の抱える負のスパイラルからの脱却を支援するものだ。西岡氏が打ち出した「社会課題の解決」を体現するビジネスプランといえる。

このプランは反響を呼び、多くの顧客の関心を集めた。同時に、仕入先などからも賛同を得、このプランを支援してくれる会社も現れたという。結果として三承工業の業績も改善した。

外国人も実現可能なマイホーム

また、低価格住宅は、岐阜で多くの外国人に大きなインパクトを与えた。働きに行った先の外国で「自分の城」を持つのは、経済的な成功の分かりやすい指標だ。故国の家族の評価も上がる。しかしすべての希望者が家を買えるわけではない。永住者資格の取得や、住宅ローン審査に通ることなど、いくつもの困難がある。

これらのハードルを乗り越え、2014年に最初の外国人顧客の住宅が建った。それから現在までに、三承工業では約120棟の住宅を在留外国人に販売している。「条件が整わず、今は購入できない方でも、『これをクリアすれば日本で家を買うことができる』と明確な目標ができたことで、さらにがんばる人が出てきました」と西岡氏は言う。

在留外国人向けの事業を展開するにあたり、エビデンスも取った。岐阜県に集積する製造業の工場は、労働者として多くの外国人を受け入れてきた歴史がある。岐阜県の外国人比率は全国6位の2.39%(2018年)、三承工業が分譲住宅を建設した美濃加茂市では8.22%(同)に上る。さらにアンケートを実施し、住宅を買いたい外国人がどれくらいいるのかも調べた。

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