2019年4月号
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事業を構想し実践する「ビジネスデザイン」

ビジネスデザイナーに求められる「パラレルな思考力」

矢島 進二(日本デザイン振興会)

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本連載は「デザイン主導の新ビジネス創出」の事例を分析してきたが、当会が東京都から受託し実施する「東京ビジネスデザインアワード」は、まさに新ビジネス創造の宝庫だ。ここでの事例から、ビジネスデザイナーに求められる資質や能力を考えてみたい。

最優秀賞を受賞した「『立体視・金属調印刷物』を唯一無二の素材にするための事業提案」提案者:今井裕平、林雄三、木村美智子、鈴木杏奈(kenma inc.)

当会は都内中小企業のデザインによる支援事業を、2004年から東京都から受託し、第1期は「東京デザインマーケット」の名称で新商品開発のマッチング事業を実施した。第2期では、新商品開発だけに留まらず創業支援のレベルに引き上げるべくモデルチェンジを図り、そこで定めた概念と名称が「東京ビジネスデザインアワード」だ。

「プロジェクトデザイン」「事業デザイン」なども名称も候補に残ったが、最終的に「ビジネスをもクリエイション、デザインする状況が近いうちに来るはず」の考えのもと、一般的には馴染みがなかった「ビジネスデザイン」の名称を2011年に東京都に提案した。

8年を経て最近では「ビジネスデザイナー」を肩書に使うデザイナーや、事業ドメインに「ビジネスデザイン」を掲げる代理店が出現するなど注目度が高まってきている。

中小企業の資源を可視化し、
デザイナーが事業提案

今年度で7回目を迎えたアワードは、独自の技術や素材、サービスを持ち、デザインの力を使い新たなビジネスを希求する意欲を持つ都内中小企業の参加を募るところから始動した。審査会は、デザイナーだけでなく知財、工学、ブランドなどの専門家6名で構成し、応募の中から9社の企業を「テーマ企業」として選出した。

次のステップでは、企業による公開プレゼンと工場見学を実施。技術特性などだけでなく、経営者のビジョンや抱える課題なども提示してもらい、全国のデザイナーが希望する企業へ事業提案書をもって応募した。

2回の審査会によって、事業パートナーとして最適と考えうるデザイナーを選出し、引き合わせを行い、提案書をもとにした試作とビジネスプランを2ヶ月弱の間に仕上げてもらう。その発表を提案最終審査として去る1月末に公開で実施し、最優秀賞1件と優秀賞2件が決定した。

ビジネスモデルの王道

最優秀賞には、板橋区で1964年に創業した印刷業、技光堂の「立体視・金属調印刷」に対するkenmaの今井裕平氏らによる提案が選ばれた。

廣田尚子審査委員長は受賞理由を語る。「透明樹脂素材を立体的かつ本物の金属に見せる印刷技術を用いて、BtoCのプロダクト制作を行いつつ、技光堂の本業であるBtoBのOEM事業の価値向上を目指す内容で、ビジネス提案を多面的にした点を大きく評価した」。さらに「本アワードは、新ビジネス創出により、本業がより一層強くなるビジネスモデル構築を目標としており、これはその王道モデルといえる」とも。

今井氏は「まずは時計からスタートしますが、様々なメタルインターフェイスを新事業として展開していきます」とコメントした。

優秀賞を受賞した「香りの魅力を楽しく学ぶプロダクトの提案」提案者:清水覚、山根準、山根芽衣、安次嶺彩香

優秀賞の1つ目は、アロマ・フレグランス商品を展開するGRASSE TOKYOの「アロマブレンド技術」に対する、プランナーの清水覚氏らによる提案「kunkun」が選ばれた。これは顔料と香料を混ぜた新しい絵具で、「自分で香りを調合して香りの仕組みが学べる画期的なプロダクト。製品化できた時の驚きと将来性を感じるとともに、ビジネスモデルも優れている」と、委員長は評価する。

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