2019年3月号
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未来社会デザイン

未来に何が起きるのか テクノロジーと社会の2軸から見出す

西村 勇哉(NPO法人ミラツク 代表理事)

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人類は新しい能力の獲得ではなく、既にある能力を他の用途に転用することで、社会を変えてきた。そして、テクノロジーと社会は「共進化」するものであり、その2つの接点から未来社会を検討することで、テクノロジーの新しい使い方や用途転用の可能性が見えてくる。

テクノロジーの進化が、どのように社会の変化につながっていくのか。人類は700万年前にアフリカに登場して以来、道具の進化とイノベーションを通じて、生物としてではなく文化と文明として種の発展を興してきました。今回は、テクノロジーと社会の関係から未来社会を構想する視点を考えていきます。

人類は700万年前に、木にぶら下がる力を転用し、草原での新しい暮らしを生み出してきた

「新しい用途」の発見が、
社会に変化をもたらす

新しいテクノロジーが生まれたとしても、それそのものは社会との接点を持ちません。電話は遠くに離れた人と連絡を取ったり相談することで暮らしに溶け込み、ラジオは家で音楽を聴くことやニュースを知るために使われ、エレベーターは高層ビルで暮らしたり働く際の移動手段や輸送手段として組み込まれていきました。

道具としてのテクノロジーの源泉は、700万年前に人類が森から追い出された頃に遡ります。当時、樹上の安全な暮らしから草原の危険な暮らしに追いやられた弱いサルたち(強いサルは、その後チンパンジーとして進化していきます)の一部が、木の上にぶら下がるために培った2つの能力「枝を掴むための手」「ぶら下がり続けられるまっすぐな首」を生かして、「モノを掴むこと」と「立ち上がり直立して歩くこと」を始めます。

そして、子どもたちを安全な森の近くに隠し、大人たちが遠くまで歩いて出かけ、見つけた食料を手に抱えて運搬することで、安全な樹上生活から追い出されながらも生き延びていきました。

もともと木にぶら下がるために培った力を草原で食料を運搬するために用いることは、新しい能力の獲得ではなく既にある能力を他の使い方に転用するアプローチです。

人類という種は、強い足を手に入れて早く走れるようになるわけでも、体を小さくして隠れやすくするわけでもなく、所与の力を他の用途に用いることで生き延びた用途転用の達人の一群から始まっています。

このように人は、一つのテクノロジーを様々な用途に用いることで新しい暮らしを生み出してきました。テクノロジーは、新たな用途の発見を通じて初めて暮らしに変化を生み出していきます。

変化は、次の変化を引き起こし、
結果、新しいものを生んでいく

自動車は、前回紹介したように、長年の開発期間やトライアンドエラーの期間を経て、1908年にフォードモデルTが発売されてから20年間で1500万7033台が販売され、爆発的に社会に広がりました。同時に、自動車の広がりによって道路が舗装され、信号機が並ぶようになり、1920年代にはアメリカ合衆国に世界初の高速道路が建設され、1925年には世界初のモーテルがロサンゼルス北方に建設されました。

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