家事は単純労働? 「クリエイティブな家事」の時代が到来
富裕層の大きな家で家事の手伝いをする単純労働というイメージを持たれていたハウスキーパーだが、近年は家事の専門スキルをシェアして欲しいというニーズが一般の共働き世帯で高まっている。そこに目を付け、働きたい主婦と家事を助けて欲しい共働き世帯をマッチングするプラットフォームが「タスカジ」だ。
矢野経済研究所が2018年4月に発表したデータによると、2017年度の家事代行サービスの国内市場規模(利用者の支払金額ベース)は906億円と予測されており、2015年度の853億円、2016年度の879億円から右肩上がりで拡大を続けている。
「成長市場とはいえ、価格の高さを理由に利用を尻込みする人も多く、海外に比べると家事代行サービスの浸透は遅れていました。そこでタスカジは、1時間1500円~という業界最安の価格設定にすることで世帯年収800万円から2000万円くらいの共働き夫婦にも使ってもらえるよう、ターゲットの裾野を広げることに努めました」と、タスカジ代表取締役社長の和田幸子氏は語る。
低価格実現のポイントは、従来の家事代行業者のように人を雇うのではなく、フリーランスの『タスカジさん』に登録してもらい、依頼者のニーズの把握や作業の調整を当事者間で行ってもらうようにしたこと。管理コストを依頼者に負担してもらう必要がないため、1時間3500円以上だった家事代行サービスの相場を、一気に半額以下に抑えた。一方で、働き手の時給相場も1000円から2100円まで上げた。
「品質保持のためにサービスをマニュアル化、画一化するよりも、プロフィールやレビューを通して一人ひとりのオリジナリティをユーザーに分かりやすく伝えること、さらにキャリアアップしていただくために勉強会を開くなど多面的なサポートすることが、プラットフォーム運営者としての私たちの役割だと思っています」
ビジネスモデルのヒントになったのは、個人の所有する空き部屋を仲介するアメリカの「Airbnb」や、空いた自家用車をタクシーのように共有できる「Uber」などのマッチングサービス。和田氏自身が第一子出産後に家事代行を探していたとき、知人から「海外では家事を手伝いたい人と頼みたい人が個人間で契約している」という話を聞いて、起業アイデアを閃いたという。
「私も経験者だからわかるのですが、家事代行に求めるサービス内容は千差万別なので、画一化されたサービスで品質保証されるよりも、多種多様なフリーランスの能力の中からぴったり合った人を選ぶほうが、顧客満足度が高いと思うんです。たとえば、おしゃべりが楽しい人が良いという家庭もあれば、黙々と仕事をこなす人のほうが信頼できるという家庭もある。子どもが懐く人、お年寄り用の献立を作り分けてほしい......等々、パーソナライズされたご要望にお応えする中で、『つくりおき』や『整理収納』に特化したサービスも生まれました」
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