2019年1月号
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労働の行方、働き方の未来

障害者雇用の「壁」を解消 障害を価値に変え、事業の成長につなげる

岸田 奈美(ミライロ 広報部長)

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車椅子の大学生が、バリアバリューを理念に起業したベンチャー企業ミライロ。創業から8年、五輪誘致や法改正の後押しもあり、ユニバーサルデザイン導入のビジネスを拡大している。社会を変えつつ、営利企業として事業を成立させることを目指し、様々な顧客にサービスを提供中だ。

岸田 奈美(ミライロ広報部部長)

ミライロ(大阪市)は、2010年に設立されたベンチャー企業。障害者を含むあらゆる人が、自由に自らの人生を歩める社会のもとになる「ユニバーサルデザイン」導入のコンサルティングや、教育研修を事業としている。創業者で社長の垣内俊哉氏は、骨形成不全のため、幼少時から車椅子を使用していた。車椅子の目線から、新しいビジネスを創造したベンチャー企業として、2018年にはJapan Venture Awards経済産業大臣賞を受賞した。

教育を通じて意識を変え、障害者や高齢者を含む、より多くの人をお客にできる働き方を提案するミライロのビジネスについて、ミライロ創業から3人目の社員である広報部部長の岸田奈美氏に話を聞いた。

バリアを除去するビジネスモデル

障害者雇用促進法では、従業員の一定割合の障害者を雇用することを義務付けている。民間企業には罰則もあるため、働く障害者の数は増えているとされていた。しかし2018年8月、中央省庁や地方自治体で、障害者雇用の水増しが発覚。社会のバリアの根深さが白日の下にさらされた。

ミライロでは、このような社会状況をにらみつつ、ユニバーサルデザインの導入促進ビジネスを着々と進めている。同社の企業理念は「バリアバリュー」(バリア、障害をバリュー、価値に変えること)。バリアの存在が社会に知られれば、ビジネスチャンスも増える。

「意識、環境、情報の3つの壁を解消することを目指してソリューションを提供しています」と岸田氏は説明した。意識の壁は、障害のある講師を派遣して実施する教育プログラムである「ユニバーサルマナー検定」で、環境の壁は障害者が実地で調査を行い、設計に反映させる「ミライロ・アーキテクチャー」で、情報の壁は「Bmaps」でと、問題ごとに個別のサービスを提供するほか、顧客の要望によりこれらを組み合わせたコンサルティングサービスも実施している。

現時点での主力事業は、ユニバーサルマナー検定だ。障害者だけでなく、高齢者やベビーカー利用者、LGBT、外国人など、多様な顧客に適切に対応できるように研修を実施する。施設ハード面の改修に先立ち、組織で働く人の意識を変えることで、サポート方法を身につけさせることが目標。受講者の業種は様々だが、ホテルや飲食店など、接客業が多い。

ミライロからは障害のある講師を派遣し、講義と演習や、実技研修などを実施する。現在、検定には3級と2級があり、3級はこれまでに600社、6万人が受講した。病気のため、40歳で車椅子利用者になった岸田氏の母も、講師として働いている。

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