農家の働き方が変わる 画像解析とドローンで重労働を3割減
AI・IoTプラットフォームのマーケットリーダーであるオプティムは、スマート農業事業に参入。農業現場の困りごとを知るアドバンテージを生かして、農家の労力削減、収入アップを目指す。AI・IoT・ロボットを組み合わせた減農薬栽培で、労力3割減、高価格で販売できる農作物生産にこぎつけた。
農業は、時間と場所に拘束される産業の代表格だ。農業機械の導入で、手作業で全てを行っていた時代に比べれば生産性は飛躍的に向上したものの、農家の作業負担は大きい。この改善の余地に着目し、IoT企業の参入が相次いでいる分野でもある。
IT企業ファウンダーは農学部出身
IoTプラットフォームや、IT遠隔マネジメントなどのサービスを開発・販売しているIT企業であるオプティムは、AI・IoT・ロボットなどを組み合わせた「スマート農業」を提唱し、農家と協力してシステム開発や改良を行っている。
2000年に、現社長の菅谷俊二氏が大学在学中に設立した同社は、インターネットの利用拡大と共に成長し、2014年には上場を果たした。IT企業が新規事業として農業に取り組むケースは増えているが、オプティムが他社と異なるのは、菅谷氏が佐賀大学農学部を卒業していることだろう。施設園芸を学んでいたため、大学在学中から佐賀県の農家と接する機会が多く、労働の割に収入が少ない、若者もやりたがらないという課題をじかに見ていた。ITシステムを開発してビジネスを成長させながらも、いつかは農業に貢献したいという思いがあった。
そこで、2015年8月に佐賀県、佐賀大学、オプティム3者連携協定を締結し、農業の省力化、効率化、そして収入増を目指したシステムの実地利用を始めた。また2017年12月には生産者を中心とした、「スマート農業アライアンス」設立を発表しており、全国の300以上の団体とアライアンスを締結して、ITの農業への応用を進めている。「オプティム・スマート農業アライアンス」へは、農家だけではなく、企業や金融機関、自治体、大学など、スマート農業を共に実現する未来志向を持つ人は誰でも参画できる。オプティムが戦略的包括提携したみちのく銀行の仲介で、青森県内の生産者がスマート農業アライアンスに参加した例もある。
「町ぐるみでスマート農業を実施したいというところもあります」と、同社インダストリー事業本部マネージャーの速水一仁氏は話す。例えば、佐賀県三養基郡みやき町では、農業の活性化のためにガバメントクラウドファンディングを活用してスマート農業を導入し、収穫した減農薬米を寄附者に送る返礼品とする、という計画を立てている。
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