学生起業家 女性ならではの視点とデザインで課題を解決
欲しいものは自分の手でつくれば楽しいし、それを売れば人も自分も幸せにできる。ウツワ代表の稲勝栞氏の創業はそんな単純な気持ちから始まった。
多摩美術大学に在学していた19歳のときに創業した稲勝氏。初めから会社を創りたいと考えていたわけではなく、稲勝氏のビジネスの原点は趣味にあったという。
「中学生の頃からロリータ服にハマり、お小遣い欲しさに、フリマサイトで売り買いしていました。その後、自分で欲しいと思ったものをデザインし、見せ方を工夫して紹介すると、すぐに売れましたし、喜んでもらえました」
タイツに独自のプリントを施したオリジナルタイツは30足が瞬く間に完売。そこで、稲勝氏は大学進学後、本格的に事業を開始。胸の小さな女性がフリルなどで胸元を飾り、コンプレックスと楽しく向き合うことのできる可愛らしいランジェリーを考案。稲勝氏のSNS上のフォロアー数がみるみる増え、若い女の子たちの間で話題になったという。趣味で始めた取り組みが売上1千万円を突破した時点で、より多くの人に喜んでもらうため信頼性や収益等を考慮し、法人化に踏み切った。
法人化を決めた際、稲勝氏は「若い女性が下着の会社を経営するということで信頼してもらえるのか不安でした」と振り返る。商材関係なく、親身になって相談できた日本政策金融公庫から融資を受けることを決め、アドバイスを受けながら順調に事業を拡大している。
課題解決のために利益を重視
「服はただ着飾るためだけのものではありません。コンプレックスを解消したり、笑顔を増やしたりできるような商品をデザインすることを心がけています」と稲勝氏が話すように、ウツワの商品は、SNSを通じて都心部の女性の共感を呼び広まっている。しかし、地方や世界にも自身の体形にコンプレックスがある人や、ウツワの商品を知らないが必要としている人は大勢いるはずで、そういった方々にも知ってもらえるようにしたいと、稲勝氏は力を込める。そこで、これから注力するのは、顧客に正確・スピーディーに商品を届けられる仕組みと利益のバランスを追求することだという。
「材料や縫製など全行程にお金がかかるので、資金の蓄えや体制が整っていないとお客様に責任をもって商品を届けられません。ここをベースに考え、良い人材の採用やWEBマーケティングや店舗展開を強化してきます」
同社は現在、下着だけではなくワンピース、Tシャツも販売したり、伊勢丹新宿店でPOP UP SHOPを開催したりするなど実績を重ねており、今年春にはラフォーレ原宿に実店舗をオープン予定だ。稲勝氏の目標は、20代で年商5億に到達すること。10年後の自分を計画的に描き、結婚、出産を経てどんな30・40代を迎えたいのかをライフプラニングして事業を展開していくという。
近年、稲勝氏のように活躍する女性起業家は年々増加している。女性ならではの視点から生まれるビジネスだからこそ、女性ならではの課題を解決し、より良い社会を創っている。
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