被災前の復興計画が故郷を救う
そう遠くない未来に起こると言われている首都直下地震。これにより関東圏3000万人の被災が想定されている。明治大学の中林一樹特任教授が3月9日の「地域づくり講演会」(主催:一般社団法人関東地域づくり協会)で我々がいますべきことは何かを語った。
日本の防災や減災の取組みに大きく影響を与えているのが阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、そして東日本大震災です。
阪神・淡路大震災は1995年1月に発生しました。当時、東京都はマグニチュード7の直下地震の被害想定を初めて公表しようとしていたのですが、現代都市の直下地震を目の当たりにして想定作業を中断、現地でヒアリングと調査を実施しました。阪神・淡路では11万棟以上の建物が全壊全焼しましたが、東京ではその5倍の55万棟が被災すると想定されました。復興にはとんでもない時間がかかる、だからこそ事前に準備しておかなければならない――そういう提案から事前復興の議論が始まりました。
2004年10月の中越地震では農山村地帯が被災しました。死者数は68人ですが、土砂崩れや建物の倒壊などが原因で亡くなった方は15人でした。残る53人は避難所や仮設住宅での孤立や生活苦等に起因する震災関連死だったのです。
「阪神・淡路大震災以降に発生した地震災害」
阪神・淡路大震災以降に発生した地震災害。データを見ていくと、その地震の特徴が見えてくる
震災関連死をなくすためにも
建物の倒壊や震災後の火災で亡くなった方は弔慰金や義援金に基づく見舞金などが支払われます。従来は災害関連死は対象外でしたが、それではあまりにも不公平だとして、阪神・淡路で初めて関連死も震災の犠牲だと認定されました。関連死は中越と東日本でも認められました。
東日本大震災では津波の被害が大きく、負傷者6200人超に対して、死者・行方不明者は1万8000人を超えています。また、関連死は3400人以上。そのうちの半分以上が原子力発電所の事故のために長期避難を余儀なくされた福島県の方々でした。
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