頻発するゲリラ豪雨、下水道モニタリングで都市型水害リスクを低減

アスファルトで覆われた都市に突発的な大雨が降り注ぐと、行き場をなくした雨水による浸水被害が起こりやすい。近年頻発する都市型水害対策として注目が集まっているのが下水道のモニタリングだ。網目のように張り巡らされた下水道管内の水位を計測することで、氾濫の兆候を監視できるという。

局地的かつ短時間に大雨が降る現象「ゲリラ豪雨」。2008年夏に金沢市や神戸市、名古屋市などで局地的大雨による災害が相次ぎ、報道各社がこぞって使ったことから急激に広まった言葉だ。今までにない気象現象というイメージが強いが、事実、1時間降水量が50mm以上の強雨が発生する回数は増加基調にある。10年単位で比較すると、2003年〜2012年の年間発生回数の平均値は1983年~1992年の平均値の1.3倍以上に達する。

さらに、市街地の都市化が被害を拡大させた。一気に降り注いだ大量の雨水は地面に吸い込まれる間もなく、アスファルト上に濁流を作り、下水道や雨水貯留施設へと流れ込む。流入量が排水能力を上回れば、街に水が溢れ出すのは自明。それゆえに従来の対策は貯留施設の増強などの雨水排除に主眼が置かれていた。しかし、こうしたハードの対策に限界があったのも事実だ。

今年5月に可決された改正水防法には「下水道・海岸の水位により浸水被害の危険を周知する制度」の創設が盛り込まれ、ソフトの対策にも予算が割り当てられるようになった。下水道の水位から浸水リスクを予測し、情報発信によって避難体制の充実・強化を図るといった取り組みも制度の対象になる。

防災のために下水道の水位を監視するというアイデア自体は目新しいものではない。しかし、下水道は分岐や合流で管路が複雑な上に、管径もまちまちで、全体を把握するには計測用センサーを大量に設置する必要があった。そうなると初期投資がかさみ、データ収集などに要するコストも増大するため、実用化には至っていなかった。

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