地域・地区のコミュニティ力が地域防災の強化に繋がる

未曾有の被害をもたらした東日本大震災から5年が経った今年、地震は来ないと住民が思い込んでいた熊本に地震が起こり、あらためて地区防災計画がクローズアップされている。その制度創設に携わった西澤雅道氏に各地での取り組みの実態や今後どのようにあるべきかについて伺った。

地区防災計画をコミュニティに根付かせるには、防災訓練などを通じて、楽しみながら意識づけをすることが重要(横須賀市ソフィアステイシアの防災訓練、地区防災計画学会提供)

誰もが予想しなかった熊本地震

断層があるとはわかってはいても、まさか大地震が来るとは誰も思っていなかった。それが現実のものとなったのが2016年4月14日に発生した「平成28年熊本地震」だった。発生から震度1以上の地震が1,000回にも上るなか、4月下旬時で死者49人、安否不明者1人、被災家屋27,000余棟。約37,000人が避難生活を強いられている(4月末時点)。

なかでも古い家屋に被害が集中したことは特徴的だった。1981年、建物の新耐震基準が作られたが、今回の倒壊家屋のほとんどは築50年以上。熊本県全体の耐震化率自体も全国平均からすれば低かった。「特に衝撃的だったのは防災拠点となる市庁舎が被害を受けたことですね」と、地区防災計画制度創設に携わった西澤雅道氏は話す。

「別府--島原地溝」をはじめ、多くの断層や地溝帯があることは知られていた。しかし、背景には地震に対する県民の意識の低さがあったようだ。それゆえ、不意を突かれて「自助」どころか「共助」もままならず、地区防災計画の課題があらためて浮き彫りになったことは、制度施行を進めた西澤氏も残念に感じているという。

その課題をどう解決していくか、今はこれから進むであろう検証を待ちたい。

地区特性によって独自の取り組み

地区防災計画制度は14年に施行された。これは地域住民のボトムアップ型計画であること、地区の特性に合わせた計画づくりであること、計画に基づく防災活動の実践・継続・見直しを重視していることに特徴がある。

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