SDGs時代のコミュニケーション 広報は対話を通じ情報収集を

SDGsや環境再生型の経営は、企業ブランドの向上につながる。また、このような時代には、広報に求められる役割も変化している。従来のようなマスに向けた発信だけでなく、社会の小さな声を拾っていくことも、より重要になっている。

持続可能な開発目標(SDGs)の時代には、持続可能性、サステナビリティが注目されるが、欧州など海外では現在、サステナビリティをレベルアップし、「環境再生型」の事業経営や取り組みが必要といわれている。再生とは英語でregenerativeで、もう一度、作り上げるという考え方だ。

「気候変動が『気候危機』といわれるようになり、速い速度で進んでいます。現状を維持しても次世代に対する責任は果たせないということで、『持続』という考え方でなく、新しく作り直して次世代に受け渡す気持ちを持たなければいけないと考えられています」。社会情報大学院大学教授の坂本文武氏は、こう説明する。

坂本 文武 社会情報大学院大学 教授

「もちろん、持続可能性という言葉も大切で、今それがSDGsというキーワードの下、注目されているのはチャンスです。ただ、これに固執し、持続性を担保するだけでは地球環境は持たないということです」。

SDGsや環境再生型の経営は、企業ブランドの向上にもつながる。また、今の時代には、これらに取り組まなければ、企業ブランドが下がる、さらには経営がリスクを抱える危険性もある。

変わる広報の常識
企業ブランド確立の3ポイント

坂本氏によれば、企業ブランドに関して効果を出すには、いくつかのポイントがある。第1のポイントは、有言実行だ。現在は企業の意図や意志が問われており、実行に移す前から問題視している課題、それに対するコミットメント、そこに対する具体的な戦略をセットで伝えていくことが求められる。

「現在は2030年よりも2040~50年に向けて、どんな目標をコミットし、どんな貢献をするために、どんな戦法をとるのかということを明確にする必要があります。それらを明確にせずに、短期的な目標を繰り返し積んでいく企業が評価されたり、共感を呼ぶことは、あまりありません」。

第2のポイントは、コレクティブだ。SDGsはグローバルな世界で多様な主体が手を取り合って解決する共通の目標だ。このため、1企業だけでできることは限定的で、どちらかというと連携や協働でゴールを達成するという世界観になる。

「企業ブランドとSDGsを考える際も1社でやるのではなく、他社や他のセクターと連携し、自分たちもイニシアティブをとる1社であるという立ち位置が必要です。その際、コレクティブにインパクトを出す、1社でできない部分をどうカバーするかということを自覚して進めることが大切です。また、近年は企業の役員の発言や立ち位置、振る舞いも特に見られています」

第3のポイントは、社会は全てを完璧にすることは求めていない、ということだ。「大事なことは、何をやり、何をやらないのかという峻別をしっかり行いコミュニケーションすることです。そして、やらない場合はなぜやらないのかを説明します」。

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