2020年9月号
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ポストコロナの経済

パンデミックからの復興へ データに基づく議論が不可欠

吉川 智教(早稲田大学 名誉教授)

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パンデミックの経験を今後へと生かすためには、各分野で掘り下げた分析を進めるとともに、それを一般の人にも分かりやすく伝えることが重要になる。データや証拠に基づいた議論は、人々の理解や行動に変化をもたらし、適切な感染対策につながっていく。

パンデミックは世界各国に大きな影響を与えている

歴史的に見れば、パンデミックは残念ながら100年~200年に1度はあるようです。ウイルスは人類と共存していますから、今回の経験から何をどのように学ぶのか真剣に検討する必要があります。

米国、英国、フランス、ドイツ、日本、インド、シンガポール、韓国、中国など、それぞれの国には、対応の違いや所得格差、社会的なインフラ、人々の反応などに違いがあります。そして、それらの人々の行動の差が、感染率の違いやコロナによる死亡者数の違いとして現れるという極めて残酷な事実に私たちは直面せざるを得ないようです。

パンデミックの経験から
見えてくること

以下、パンデミックから見えてきた、いくつかの事象を列挙します。

1)所得格差のために人口の25%が健康保険に入っていないため、医療を簡単に受けられず、その結果、国内に感染が広がってしまった国。そうした国では、国民の健康管理や公衆衛生の問題が浮き彫りになりました。日本の国民健康保険制度の有効性を改めて認識する必要があります。

2)「情けは人の為ならず」(自分のためでもある)という格言があります。私は以前、調査や講演のためにアジアのいくつかの国を訪れる機会がありました。その時、胃腸の具合が悪くなることもありました。よく調べてみると、当時30%の家庭にトイレがない状態の国がありました。公衆衛生の問題は公共の問題です。もしもその国で問題があるならば、当然、隣接する国にも影響が出てきます。

3)各国の首相や大統領の知的インテリジェンスの差。首相や大統領は、全員高等教育は受けています。しかし、十分な知的訓練を受けている人と、必ずしもそうでない人もいるようです。知的な議論についていけないトップ、優秀なブレーンや部下を十分に生かしきれないトップもいるようです。

一方で、特定の分野で博士号を取得している人もいます。自分とは異なる分野の専門家の議論にも参加可能で、医学の専門分野も必要に応じて理解が可能な人は、自分の言葉で国民に説明することができます。説得力があり、それが人々の行動の変化をもたらすのです。この違いは大きいでしょう。

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