総務省 Society5.0に向けた自治体支援 IoT・AI・5Gで

自治体のまちづくりでは、Society 5.0の実現や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた様々な施策が求められている。そのための情報収集や官民連携の場創出を目的とする「Society 5.0 未来のまちづくりフォーラム」が開催された。

IoTで地域の課題を解決

東京都港区の事業構想大学院大学で2019年11月14日、「Society 5.0 未来のまちづくりフォーラム」が開催された。フォーラムでは、先進的な取り組みを行う自治体や政府、企業の関係者らが講演を行った。

総務省からは情報流通行政局地域通信振興課長の磯寿生氏が「Society5.0 地域の未来を考える」というテーマで講演した。講演では、今後のモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、5G時代のSociety5.0に向けて、地方を支援するための様々な政策に関する説明がなされた。

IoTを活用して地域課題を解決するためのアプリケーションは、既に様々なものが出ていることから、総務省は現在、「地域IoT実装総合支援」を行っている。例えば、沖縄県の宮古島ではマンゴー生産を高度化するためセンサーで情報を集め、栽培を最適化するスマート農業の実証を支援してきた。その結果、実証エリアではA級品が54%を占め、他エリアの15%という割合を大きく上回る品質向上が可能になった。さらに、収穫開始時期が14日程度早くなるという成果も出た。

情報通信技術(ICT)、IoTの導入に関しては、政令指定都市や都道府県などはノウハウを持つが、他の多くの自治体はそうではない。それらの自治体は導入に向けた計画を立てるのも困難であることから、総務省では計画策定支援も行っている。

さらに、地域IoT実装事業による財政支援もあり、スマート農業やテレワーク、地域ビジネスなどで活用されている。また、スマートシティやRPA(Robotic Process Automation))などの専門家に登録してもらい、自治体の要請に応じて「地域情報化アドバイザー」として派遣する事業も行っている。

図 AI利用の格差

自治体におけるAIの導入は1割と、企業に比べ少ない。AIを導入している団体を指定都市とその他市町村で比較すると、指定都市は約60%、その他の市区町村は約4%と自治体の間の格差が広がっている

 

AI活用で住民サービスを向上

総務省は2020年度に向けて、自治体のAI活用に関する政策を強化していく方針だ。RPAやチャットボット、AIを使った光学文字認識のAI-OCRなど、自治体が使える様々なAIサービスが既に登場しており、これらを活用した住民サービス向上や業務の効率化を支援する。他方で自治体の基幹業務を合理化するシステムはまだあまりなく、今後の課題となっている。

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