2019年9月号
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SDGsを経営に生かす

胡蝶蘭が結ぶ障害者雇用の場 自分を生かせる質の高い職を確保

那部 智史(NPO法人AlonAlon 理事長)

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胡蝶蘭の生産を、障害者の雇用につなげているNPO法人のAlonAlon。障害者が自立できる給与を確保するため、品質とストーリーを付加価値に、着々とファンを増やす。誰もが尊厳を持ち、安心して暮らせる環境を、地域ぐるみで構築することが目標だ。

那部 智史(NPO法人AlonAlon 理事長)

障害者に質の高い雇用を提供

障害者を取り巻く雇用環境は厳しい状況が続いている。中小企業も不況が長引くなかで年々障害者の採用を減らし、次第に大企業による義務雇用の割合が多くなっている。これにより統計上の障害者雇用は大きく伸びたが、知的障害者の雇用は進んでいない。即戦力のオフィスワーカーを求める大企業と、オフィスワークに不向きな知的障害者の間で、ミスマッチが生じているのだ。

NPO法人のAlonAlonは、「子どもも、親も親類も尊厳を守れる施設をつくりたい」という那部氏の強い思いで設立された。那部氏の息子は最重度の知的障害を持っているため、自分の子を安心して託せ、また家族も毎週遊びに来られるような場所が必要だった。

そこで、2017年に千葉県富津市に建設されたのが、「オーキッドガーデン」という胡蝶蘭を温室栽培する農園だ。この農園は「就労継続支援B型事業所」という福祉施設の位置づけとなっており、現在10名の知的障害者がここで胡蝶蘭を栽培し、平均約10万円の工賃(給与)を得ている。これは、知的障害者が得る工賃の平均(約1.5万円)を大きく上回る金額だ。

AlonAlonは胡蝶蘭生産を通して、企業と知的障害者の雇用ミスマッチを解決するとともに、障害者の工賃向上実現に取り組んでいる。

「祝い花」市場に着目

AlonAlonが着目したのは、贈答用の花きの市場だ。新装開店や昇進などのお祝い事のたびに贈られる花の市場規模は年間1000億円。数多くの顧客を持つ金融業などは祝い花にかける費用が多く、年間2000~3000万円ほどを支出する企業もあるという。うち3割が胡蝶蘭だ。単価が高く値崩れしづらいため、安定した事業経営が見込めるのもメリットだ。

AlonAlonでは、障害者の所得向上に加えて、各人が働きながら成長できるようなビジネスを考えていた。胡蝶蘭の生産では、苗から芽が出るまでの手入れや、花枝を独特な形状に整えるなど、さまざまな工程が存在する。このため、どのような人が来ても何らかの作業を割り振ることが可能だ。まさにぴったりの事業を見つけたといえる。

那部氏はここで働く障害者をサポートしているのではなく、「ビジネスの仲間」として捉えているという。ともに働くビジネスパートナーとして、彼らが仕事を通して成長、自立できる環境を心がけている。障害者の入所時には、基本的に花が好きであればOKというスタンス。徐々に作業を覚えることで成長を実感するとともに、給与も上がる環境を提供している。

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