2019年2月号

実務家教員による大学教育 第1回

実践と理論の融合 今、大学教育に「実務家教員」が必要な理由

川山 竜二( 事業構想大学院大学 准教授)

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高度に成熟化した社会において、大学がその要請に応えるには、経験豊富な実務家教員からの学びが欠かせない。社会的背景や役割について概説する。

大学においては、企業等から毎年1,500人~2,000人(毎年の採用教員数の2~3割)が本務教員として採用されており、専門職大学院(法科・教職を除く)においては、約5割(平成28年度:666人/1,316人)が実務家教員となっている(写真はイメージ)

我々が生きる日本社会は、高度に複雑化した社会と言える。ピンとこなければ「課題先進国」や「成熟した社会」というフレーズに言い換えてもよい。そこで問題になっているのは、課題もまた複雑化してきている――SDGs、第4次産業革命、人生100年時代、グローバリゼーション、地方創生云々――ということである。

その直面する課題を解決するために、社会は多様な知やスキルを要求している。新しい課題に直面するたびに、それらを解決する知やスキルが不可欠となるのだから、我々もまた常に学びを続けなければならない。

成熟社会の新しい知を求めて

では、複雑化した現代の社会課題に対応するために、多様な知やスキルをどのように獲得すればよいのか。

伝統的に、新しい知を生み出す役割を果たしてきたのは大学である。ところが、従来の大学の学部などに代表されるような学問体系に依拠した知識生産だけでは、社会からの多様な知やスキルの要求に対応できなくなってきている。既存の学問体系を越えた知の生産をいかにして行えばよいのか。昨今、大学改革が叫ばれているのは、社会の要求と学術が乖離していることに端を発しているのではないだろうか。

社会から要求される多様な知やスキルの需要に応えるためには、社会のなかに分散し埋め込まれている知やスキルを掘り起こして、新しい実践知=専門知として誰もが利用できるかたちにしなければならない。では、その社会に散在する知やスキルを実践知=専門知にしてゆく担い手は誰か。

実務家教員の役割
社会人が大学で教える

実社会での経験をもつ社会人(企業や自治体等で実務経験を積んだ人)が、多様な知やスキルを実践知=専門知にする担い手であると考えられる。実際、企業などでの経験をもとに大学の教壇に立つ方々は実務家教員と呼ばれている。これから実務家教員の役割は、ますます大きくなってゆくだろう。というのも、先ほど述べたように社会が要求する知やスキルを実践知にしてゆく役目が実務家教員には求められているからである。

もちろん、実務家が経験したことがそのまま即、実践知=専門知になるわけではない。これまでの専門分野の知の結晶である理論と、実務家が経験てきた経験知を融合させながら、新しい実践知=専門知を形成していくことがまさに求められている。こうした実践と理論の融合こそが、現在の複雑化した社会課題を解決するための「新しい知」となってゆく。その役割が実務家教員には求められている。

 

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