2019年2月号
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未来社会デザイン

ANA「瞬間移動」プロジェクト 新しい未来を構想する2つの視点

西村 勇哉(NPO法人ミラツク 代表理事)

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確実性を基準に考えると、0%も1%も低いことに変わりはない。しかし、可能性の観点で言えば、0%と1%の違いは大きな意味を持つ。そして、テクノロジーの進化の予想を基に、0%と1%の境目を見極めることで、実現可能性のある『あり得る』未来は見えてくる。

図 イノベーションの構造と未来構想の役割

出典:ミラツク資料

確実性ではなく可能性に注目

なぜ、多くの未来戦略は似たような話になったり、あまりおもしろくないのか。それは、多くが、他の誰かが実現する未来を捉えようとする、受身なスタンスによって生まれているからかもしれません。

未来は、遠い未来になればなるほど不確実性が高まり、何が起こるか分からなくなっていきます。もし、確実性が高い未来を見たいのであれば、なるべく近い未来に対して、すでに多くの人が取り組むテーマや分野について扱うことが効果的です。受身のスタンスで未来を描くと、確実性・不確実性に注目することになるため、結果的になるべく近い未来に対して似たようなテーマを扱うことになりがちです。

それに対して、プレイヤーとして未来に向けて主体的に実現に取り組む場合は、確実性ではなく可能性に注目することになります。確実性に注目すると、0%も1%も低いことには変わりなく、70%、80%、90%といった確率の高さを評価することになります。

一方で、可能性に注目すると、0%と1%の違いこそ重要であり、可能性の範囲外か範囲内かを見極めた上で自ら可能性を高めていくために取り組むことになります。主体的に未来をつくる立場に立った時、不確実な遠い未来はむしろ選択の幅が広いブルーオーシャンの源泉として価値を発揮します。

ANAの「瞬間移動」プロジェクト

ANA AVATERプロジェクトは、瞬間移動を実現するための新規事業です。2016年にANAがXPRIZE財団と共に設置した賞金レース(賞金総額1000万USドル)を基盤としてスタートしました。物理的な瞬間移動ではなく、ロボティクス、VR、AR、センサー、通信、触覚技術などを融合し、感覚と意識の瞬間移動によって、航空機による移動を超えた新しい人と人の繋がりを生み出すことを目指して立ち上げられました。

不確実性の高い遠い未来を見据えた時に、人と人の繋がりを生み出す移動の最高峰として設定されたのが「瞬間移動」でした。ある特定のテーマや取り組みを最大限に未来化することで、可能性を探求するべきコンセプトが見えてきます。

また、ANA AVATERプロジェクトは物理的な瞬間移動ではなく、感覚と意識の瞬間移動に焦点を置きました。その背景には、テクノロジーとしての実現可能性があります。

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