東京電力vs東京ガス 再エネ活用を推進する巨大エネルギー企業

2016年の電力小売全面自由化、2017年のガス小売全面自由化を受けて、家庭市場でライバル関係となった東京電力と東京ガス。政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」実現に向け、再生可能エネルギーの開発・導入も加速している。

脱炭素化を加速する、エネルギー最大手

2016年の電力小売の全面自由化に続き、2017年にガス小売も全面自由化されたことで、電力会社がガス、ガス会社が電力を家庭市場へ供給することが可能になった。電力最大手の東京電力ホールディングスと、ガス最大手の東京ガスは、文字通りライバル企業として熾烈な闘いを繰り広げることになる。もちろん、国が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に向けた取り組みにおいても、両最大手エネルギー企業の動向が注目される。

東京電力ホールディングスは、2020年、発電時のCO2排出量を2030年度までに2013年度比50%以上、従来の原単位ではなく総量として削減する新たな方針を明確化した。再生可能エネルギーなどの調達比率を高め、蓄電池やEV、太陽光発電を組み合わせた電化などで脱炭素を目指す。総量での削減目標は、ESG経営を求める世界の声に応えたものだ。

電力小売を手がけるグループ会社、東京電力エナジーパートナーは、三井不動産と連携して、再生可能エネルギー由来のグリーン電力を、三井不動産が保有するオフィスビルのテナント個々の事情に合わせて供給する取り組みも始めた。ESG投資が世界の潮流となるなか、グリーン電力を使いたいというテナント企業の要望が今後ますます高まる可能性がある。

一方、東京ガスは、2019年に策定した経営ビジョン「Compass2030」の中で、「CO2ネット・ゼロ」を「3つの挑戦」の1番目に掲げる。再生可能エネルギー電源の拡大と脱炭素化技術開発の推進による排出ゼロ化と、天然ガスの効率的な活用による省エネ、CO2回収・利用・貯留などによるカーボンニュートラル化を組み合わせて「ネット・ゼロ」を目指す考えだ。

そのためのアクションとして、2030年には再生可能エネルギー電源取扱量を国内外で合計500万kWまで拡大し、太陽光発電・蓄電池・EVなどの分散型リソースを活用した新ビジネスを展開する。2020年1月、群馬県で稼働した「安中市太陽光発電所」を同社グループ会社が取得し、同社の国内での再生可能エネルギー運営規模は100MWを超えたが、これもこのアクションの一環だ。

社会全体の脱炭素化には、再生可能エネルギー活用はもちろん、供給側、需要側双方で様々な手法を組み合わせて効果をあげるアイデアが欠かせない。エネルギー企業からの多面的で実効性の高い提案に期待したい。

両社概要

東京電力ホールディングス

設立 1951年
本社 東京都千代田区
代表 小早川 智明 (代表執行役社長)
資本金 1兆4,009億円
従業員数 41, 086名(連結)

出典:同社ホームページ

 

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