2021年2月号
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ポストコロナにおける「企業と社会」

ポストコロナの経営のニューノーマル 持続可能で強靭な企業組織とは

谷本 寛治(早稲田大学商学部教授)

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コロナ禍で大きく変化した現代社会において変革を迫られる企業経営と組織のあり方。世界ではすでに企業のトランスフォーメーションが始まっているが、「企業と社会」論を専門とする谷本寛治氏は、日本企業の動きは鈍いと指摘する。今、企業経営者に必要なマインドとは何か。

ポストコロナとニューノーマル

新型コロナウイルスの感染が世界中に広がり、経済・社会が混乱、低迷する中、日常生活から世界経済に至るまで、様々な局面においてこれまでの活動スタイルが見直され、今後のあり方について議論がなされている。社会とともに生きていく企業は、その事業スタイルから企業のパーパスまで今改めて問われている。それはサステナビリティ時代においてこれまでCSR、ビジネスのあり方が問われてきたことと重なる部分が多い。HSBCの調査によると、長期を見据えこれまでCSR、サステナビリティを経営に組み込む戦略的対応を実現できている企業は、レジリエンスを備え、コロナ禍における課題にも対応力がある、と指摘している。またステイクホルダーとの関係強化に取り組んでいる企業は、株主にレジリエンスに注力していることを示しており、株価も下落しにくいという調査結果もある。

そもそも健康な環境、健全な社会がなければビジネスは成り立たないと言われてきたが、今まさにそれが問われている。本稿は、ポストコロナにおいて経済社会の持続可能な発展に貢献するビジネスのあり方、企業と社会をとりまくシステムのあり方について考えていく。

コロナ以前からの大きな潮流として挙げられる課題は、気象変動・貧困・人権などサステナビリティ課題の他、世界の経済政策不確実性の増大、地政学的リスクなどが挙げられる。サステナビリティ課題への認識は高まってきた反面、企業レベルでのCSR経営の不十分な理解と不徹底が問題となっている。ポストコロナにおいては、人々のコミュニケーションの取り方や行動様式も変わってくる。オンライン化に伴い、企業は新しい事業システム、仕事の仕方、サプライチェーン、そして消費者行動への対応が求められている。

ニューノーマルとは、ポストコロナ社会に適応するようこれまでのシステムをつくり変え、新しい常態をつくっていくことである。しかしながら、個人や組織には現状変更のリスクを避ける強い慣性が見られたり、ポストコロナに対応しきれない現況が見られる。

例えば、緊急事態宣言が出されると、リモートワークをせざるを得なくなり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)への対応が迫られた。しかし日本生産性本部の調査(2020年5月)では、66.2%が仕事の効率が下がったと答えており、多くは宣言解除後にオフィス回帰が進んだ。そもそも従来の働き方、職務、評価、意思決定・コミュニケーションのスタイルが変わらず、さらにセキュリティ対策、柔軟なワークスタイルが導入されていなければ、機能しない。テレワークは以前から議論されてきたが、柔軟な働き方を導入してきた企業は、2019年調査で世界平均63%に対し日本は32%で、大きく遅れていた。

図1 柔軟な働き方政策を導入している企業2019年

出所:IWG, Global Workplace Survey, 2019より

 

大学教育も一旦ストップし、オンライン授業が一気に進んだが、多くの大学で混乱が見られた。これも同様、これまでデジタル基盤整備や授業改善に取り組んでいた大学は、オンライン学習への対応も比較的スムースであったと指摘されている。デジタル化、実質的な国際交流、双方向の授業スタイルが定着していないと、ポストコロナの新しい授業スタイル、国際交流に対応しきれないと言える。

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