2020年12月号
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SDGsの実践 あるべき指標と評価

社員の抱えるストレスの現状と 人的資本の損失を測る

馬奈木 俊介(九州大学工学研究院主幹教授 都市研究センター長)、朴 香丹(九州大学都市研究センター 助教)

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国連が掲げたSDGs(持続可能な開発目標)のうち、「すべての人に健康と福祉を(目標3)」、「働きがいと経済成長を(目標8)」、そして「つくる責任 つかう責任(目標12)」は人々の幸福と共に、持続的な開発が期待されている。

人々が幸福を感じるには精神的な影響も大きい。一方で、労働者のストレスについて注目が集まっており、日本のみならず、人々のストレスが世界の課題としてあげられている。2015年より国は従業員50人以上の企業に従業員のストレス度合いを把握するためのストレスチェックを義務付けている [1] 。

厚生労働省の調査では2017年 11 月から2018年10月までの1年間にメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は6.7%、退職者がいた事業所の割合は5.8%となっている。労働者の精神面の衛生は企業にとっても無視できない問題だ [2] 。

では、日本の企業の会社員は日々の仕事でどのようなストレスを感じ、それはどのような社会的な損失となっているのか [3] 。

新国富が示す社会の包括的富は自然資本、生産資本、及び人的資本の総和であり、社会が持続可能性を示す適切な指標とされている。そのうち、人的資本はこの三つの資本のうち最大の割合を占め、世界全体の新国富をみると人的資本が65%を占め、自然資本と生産資本で35%を占めている。日本では人的資本が総資本の60%以上を占める[4]。新国富フレームワークに基づいてみると、ストレスから生じる人的資本の損失はどのようなものだろうか。

人的資本は社会の持続的可能において最も重要な役割を果たしていると考えられる。それは人的資本が生産要素でもあり、新しい技術を生み出し、普及と関連があるためである[5,6]。従業員のストレスによる人的資本損失を明らかにし、従業員のストレスを改善することによって生まれる資本増加分を測ることは、会社のみならず、社会の持続可能につながるだろう。

日本企業における従業員ストレス現状

図1にピースマインド(東京都中央区)による従業員100万件を調査したストレス・スコアの分布を示す。横軸は直近1カ月のストレス状態を表す指標であり、高い数値ほどストレスがかかっていることを表す。厚生労働省による、高いストレスを受けている者の定義の一つは、このストレス・スコアが77以上とされる。図1で示したように、日本の従業員のストレス分布は高く、ストレスがない(スコア29)従業員は少なく、多くの従業員が軽いものから高いものまで何らかのストレスを抱えている。

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