研究会へ参画、SDGsを基盤に新素材事業の仕組みづくりに挑む

企業におけるSDGsの実践をテーマに研究・教育を行う〈SDGs総研〉では、SDGsに資する新事業を開発する1年間の研究会を実施している。研究員の日本ゼトック・中山拓哉氏に話を聞いた。

中山 拓哉 日本ゼトック 開発研究部 開発研究センター/研究グループ

既存事業の枠を越えた開発に挑戦

研究開発力に強みを持ち、化粧品や歯磨剤のODM事業を行う日本ゼトック。1954年に日本ゼオラとして創業、ゼオライトを基剤とした歯磨剤の生産からトイレタリー領域に事業を拡大してきた。1990年に社名を日本ゼトックに変更、2020年に80期目の決算期を迎えるにあたり新領域への展開を目指した事業開発を進めている。同社研究開発部の中山拓哉氏は約2年前の社内プロジェクト発足当初から新領域参入の検討・準備に携わってきた。

新事業開発にあたり経営陣から出された条件のひとつは企業理念に外れなければ既存事業と連続した事業でなくてもよいこと、そしてもうひとつは自社の生産設備を使わない、という2点だ。

そこで注目したのは、創業時から扱う素材であるゼオライト。物質を吸着する特性を活かし、新しい環境浄化素材にできないか、SDGsへの貢献も探りつつ事業開発を目指している。

開発から販売までの
仕組み化を目指す

構想の大枠は①素材の研究・開発と②製品化のプロセス、そして③製品の導入・販売という一連の流れを仕組みとして確立すること。特に、自社の設備を使わず②と③を行うには、他社との協働が必須だ。また、③のステップで重要となる、顧客企業のニーズ把握にも課題を感じていたという。

そんななか、環境浄化素材のプロトタイプが完成。製品名も価格も未定のまま展示会に出展したところ、製品化に協力してくれる企業が現れた。「粗くても、見本があるとニーズの掘り起こしにつながることがわかりました」と中山氏は手応えを語るとともに、社会のニーズを元に、これまでにない製品をつくり出すサイクルの一般化を目指す。「用途の見えないシーズや商品化がわからない研究をいかに新製品開発につなげていくか。研究開発のステップを仕組み化したいと考えています」

プロトタイプを展示会に出展。顧客のニーズを踏まえて改良のサイクルに乗せる

研究会の最終発表まではあと半年ほどあるが、中山氏の目線はその先にある。重要なのは、作り上げた構想を社内に浸透させてさらに改良し、社会のニーズから新製品を生む仕組みを作り上げることだ。そしてもちろん、収益化とSDGsへの貢献する事業に育てること。さまざまな要素に目配りしながら大きな枠組みを組み立てなくてはならないが、中山氏は「わくわくする」と前向きに語る。

SDGsの理解を深め新たな事業を
開発する、企業向けのプログラム

6〜10月開講 参加者募集
SDGs新事業プロジェクト研究概要

期間:1年間(東京・名古屋・大阪)
回数:24回(月2回・12カ月)
時間:4時間/回
会場: 事業構想大学院大学 東京校・名古屋校・大阪校
定員:15名
詳細・説明会情報はこちら
URL:https:/www.sdg-s.jp/